巨人ドラフト秘話。単独1位・桜井俊貴のどこに惚れ込んだのか

  • 高松正人●文 text by Takamatsu Masato
  • photo by Kyodo News

 真新しいユニホームに袖を通し、巨人からドラフト1位指名を受けた桜井俊貴(立命館大)は、これから主戦場となる東京ドームの中心で強い決意を明かした。

明治神宮大会の東北福祉大戦で大会タイ記録となる18奪三振をマークした桜井俊貴明治神宮大会の東北福祉大戦で大会タイ記録となる18奪三振をマークした桜井俊貴

 11月23日に開催されたファン感謝デー。巨人は1年間の感謝を表すこのイベントで、ドラフト指名された選手が顔をそろえ、挨拶するのが通例となっている。高橋由伸新監督のもと、育成選手を含めた15人が集まった。来季の開幕ローテーションを期待される即戦力右腕の桜井は、緊張した面持ちで抱負を語った。

「感謝の気持ちを忘れずに、全力でプレーをしていきたいと思います」

 桜井の背番号は「21」。この数字が意味するものは深い。Ⅴ9時代を支えた高橋一三氏や今季限りで現役を引退した高橋尚成氏に代表されるように左投手の印象が強いが、かつてはエースとして活躍した藤田元司氏や堀内恒夫氏が新人時代につけており、2003年に新人王を獲得した木佐貫洋も背負っていた番号だ。

 それだけ期待の大きさがわかるが、巨人が最終的に桜井を1位指名に決めたのは、ドラフト直前のスカウト会議だった。ここ数年、巨人のドラフト1位は早ければ1年前から、遅くてもドラフトの2週間前には決まっており、そのため今回の「桜井の1位指名」は急に決まった印象があるが、実際は違う。

 桜井が「公立の星」と言われていた北須磨高(兵庫)時代から、渡辺政仁スカウトを中心にリストアップしていた。立命館大に進学してからは、益田明典スカウトが4年間マークし、ネット裏から視線を送っていた。

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