失意のシリーズ初登板。ヤクルト石川雅規に「次」は訪れるか?

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 10月24日、ソフトバンクとヤクルトの日本シリーズが開幕した。ヤクルトが、敵地・ヤフオクドームでの初戦のマウンドを託したのは石川雅規だった。今シーズン、石川はチーム最多の13勝をマーク。自身通算11度目となる2ケタ勝利を記録したが、日本シリーズはプロ14年目にして初の舞台だった。

日本シリーズ初戦を任された石川雅規だったが、4回3失点と結果を残せなかった日本シリーズ初戦を任された石川雅規だったが、4回3失点と結果を残せなかった

 今シーズン、石川は「昨年まで2年連続最下位に終わり、それがピッチャー陣のせいだと言われて......僕らは本当に悔しい思いをしています。今年はその悔しさをぶつけたい」とたびたび口にし、リーグ優勝を果たしたことで、その悔しさを晴らした。

 事実、そのピッチングには勝利への執念が強く感じられた。特に、一塁のベースカバーに走る姿は印象的で、ベースを踏んだ後、前方に転倒するような場面もあった。

 とくに5戦5勝で月間MVPに輝いた9月のピッチングは、まさに気迫に満ちあふれていた。なかでもマジック3を点灯させた27日の巨人戦(東京ドーム)では、2日前に38度の高熱に襲われるも、5回を1失点に抑え、自らのバットで決勝点も叩き出した。

 昨年の6月、調子の上がらない投手陣について石川に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「僕たちに実力がないから打たれてしまうんです。でも、ダメだからといって後ろを向いてもいいことないですから。僕自身は......長いこと野球をやっていると、先を考えながら投げてしまうんですよね。今やるべきことを全力でできていない。思いきり腕を振って、『5回で潰れてもいいや』というぐらいの気持ちが大事かなと思っています。それが原点ですから」

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