村元哉中&髙橋大輔が感じる2年目の手応え。北京五輪に向け「自分のレベルをどれだけ上げられるか」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 ふたりは濃密なトレーニングで、劇的な成長を遂げた。村元をリードする髙橋からは気恥ずかしさや遠慮が消え、頼もしさと力強さがにじみ出るようになった。ツイズルの失敗を克服し、むしろ高得点をたたき出す武器にした。ことごとく技のレベルを上げ、昨年とは間合いも疾走感も別物だ。

 変化の象徴は、髙橋の体形だろう。シングル最後のシーズンは、食事制限で体脂肪率5%以下まで落としていた。しかし、アイスダンサーになってからは肉食に変化し、タフな筋力増強をこなし、精悍(せいかん)な体つきになった。日に焼けた肌で、長く伸ばした髪をひとつにまとめたスタイルで男っぽさも増した。

「(1年目は)動きが制限されていましたが、(2年目は)少しリードできるところも出てきて」

 髙橋は言う。

「昨シーズンよりは滑りやすくなっているかな、という自分のなかでの発見はあります。もともと、(村元)哉中ちゃんがアイスダンサーとして素敵なものを持っているのは知っていたので、それをどう生かすか、僕次第。自分のレベルをどれだけ上げられるか」

 "かなだい"は、チャレンジシリーズ、東日本選手権、NHK杯という大会出場が有力視される。12月の全日本選手権では、1枠を懸けて五輪出場を争う。戦いの幕はすでに上がった。予想を超える速度で躍進するふたりは、新時代の息吹そのものだ。

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