【自転車】片山右京「地図制作会社がTeamUKYOを支える理由」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 国内での知名度は充分に浸透しているゼンリンだが、日本国外でのビジネスは今後の大きな目標であり、課題でもある。その事業展開に向けて、TeamUKYOが、『ZENRIN』の大きなロゴを配したユニフォームでヨーロッパのレースを走ることは、大きな意義があるはずだ。

「欧州やアジアの方々が弊社の名前を聞いたとしても、『ZENRINってなんだ?』と、感じると思うんですよ。だから、まずはそこの周知からですね」

 寺本氏も、自分たちの現状をそのように把握したうえで、TeamUKYOの本場欧州での活動は自社の将来的な世界展開の大きな一助になる――と考えている。

「ヨーロッパでの自転車レースは、幅広い認知と長い歴史がある競技ですから、そこに参戦しているチームのウェアに『ZENRIN』と大きく記されていれば、それだけで大きなメデイア露出になるし、訴求効果があると思います。沿道の観戦者やテレビを観ている方々へ訴求することは、ビジネスのブランディングにも大いにつながります。

 TeamUKYOの他のスポンサーの皆様と比較して、弊社が特別に大きなブランド力を持っているわけでもないのに、選手のウェアの胸や背中に、あんなに大きくロゴを入れていただけているのは、長年のパートナーとして信頼関係を築かせていただいたおかげだと喜んでいるんです。

 そのジャージを着た選手が世界の頂点のレースを走って、世界各国の方々がご覧になる……と想像しただけで、本当に身震いがしますよ。だから、選手のみなさんにはヨーロッパのレースで走っていただかないと、我々としても困るんです(笑)。冗談はおいておくとしても、世界一を目指す彼らの夢には、弊社全員が心から応援をしているんです」

 片山右京とTeamUKYOの活動に強い共感をおぼえ、同じ高みを目指して夢を抱く者たちは、戦う場所が異なるビジネスの世界にもいるのだ。

(次回に続く)

プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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