【自転車】片山右京「スペイン人エースが語る、欧州との違い」
遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第25回】
TeamUKYOに所属するスペイン人のホセ・ビセンテ・トリビオは、本場欧州の大会でステージ優勝を果たしたこともある優秀なレーサーだ。来日して2年目を迎えるホセは、日本でのレースを走ってみて、欧州との違いをどのように感じたのか。
ルビーレッドジャージを着てレースに臨むホセ・ビセンテ・トリビオ(右) 2014年の国内サイクルロードレース選手権「Jプロツアー」は個人・チームの両部門とも、TeamUKYOと宇都宮ブリッツェンの間で激しいデッドヒートが続いている。
昨年の個人部門では、TeamUKYOのホセ・ビセンテ・トリビオ(スペイン)がシーズンを通じて優勢に進めた感もあったが、今年のシーズン前半は、何人もの選手が入れ替わり立ち替わり、ポイントリーダーの着用するルビーレッドジャージを奪い合う状態が続いた。夏に入ると、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が首位に立ち、その後数戦に渡ってリーダージャージを守り続けたが、夏休み期間を経てシーズンが再開すると、9月7日の第14戦・タイムトライアルチャンピオンシップでホセが勝利。ポイントでも増田を逆転して、ルビーレッドジャージを奪還した。
続く9月21日の第15戦・経済産業大臣旗と、9月28日の第16戦・南魚沼ロードレースでも、ホセはポイントリーダーの座を守り切り、ルビーレッドジャージを着用し続けている。しかし、第16戦終了段階で増田とのポイント差は、ゼロに等しいほどの僅差だ。
「ホセはポイントリーダーをキープしてくれているものの、増田選手はさすがにブリッツェンのエースだけあって、毎戦厳しいレースが続いています」
TeamUKYO監督の片山右京は、ライバル陣営の強力な戦いぶりに敬意を表しつつ、残り少ない今シーズンのレースに向けて、改めて気持ちを引き締める。
「今後のレースでも、ホセのルビーレッドジャージを守るために、チーム全員が一丸となって全力で戦っていきます。また、チーム部門ではブリッツェンの独走状態がしばらく続きましたが、今は逆転可能な点差に近づいてきました。首位を奪還するために、残り数戦は総力戦で臨みます」
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著者プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。