【自転車】片山右京「スペイン人エースが語る、欧州との違い」 (3ページ目)
9歳で自転車レースを始めて以来、現在に至るまで20年近く走り続けてきたホセは、日本と欧州の双方のレース事情を知り尽くしていると言ってもいいだろう。彼我(ひが)の実力差はおくとしても、レースを取り巻く環境や、レースそのものの組み立ても日本と欧州では大きく異なる、とホセは指摘する。
「日本では、しょっちゅう誰かがアタックを仕掛けて、それに対してチェックをして、という展開がレースの早い段階から続く。一方、欧州ではひとつのチームがレースをコントロールすると、しばらくその中で推移していくことが多いので、展開を読みやすい。欧州のレースのほうが組織だって戦略的に行動をすることが多い……と言ってもいいのかな。レースの平均速度は欧州のほうがずっと速いけれども、日本のレース展開は欧州と違うことが多いので、厳しいレースになるのだと思う。
また、欧州のレースは公道を使用することが多いのに対し、日本ではクローズドコースで開催する場合が多い。それも、レース展開が異なる大きな要因になっていると思う」
このように、日本と欧州ではレースの特徴も大きく異なるのが現状だが、それぞれ愉しみながら走っている、とホセは話す。
「だって、現にこうやって今も日本で走っているんだから。愉しくなかったら、きっと去年いっぱいでスペインへ戻っていたと思うよ」
10月5日に開催された第17戦・いわきクリテリウムでも、ホセはJプロツアー・ポイントリーダーのルビーレッドジャージを守り抜いている。2014年の熾烈なチャンピオン争いは、シーズン最終戦まで続く――。
著者プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。
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