2014.09.01

【自転車】片山右京「最初の一歩は何だって小さいもの」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira 五十嵐和博●撮影 photo by Igarashi Kazuhiro

 現在はまだアイディアレベル――というそのプランだが、「最高、現実、最悪……くらいの3段階で可能性を考えている」と、片山は笑いながら話す。

「理想をいえば、アジアを練習場としてヨーロッパにベースを置き、名のあるレースにどんどん出て、勝てないまでもチームの存在をどんどんアピールしていかなきゃいけない。そして、強い選手やスタッフを引き抜ける形になっていくのがベストですよね。ツール・ド・フランスを目指すなら、ヨーロッパで戦える体制にしなければいけないけど、選手ひとりを獲得するにしても、日本の無名チームにはそう簡単に来てくれない。

 郷に入っては郷に従えだから、自転車以外でもフレンドリーな文化交流ができるレベルになって、初めて向こうで認められるようになるし、選手やスタッフも来てくれると思うんですよ。札束でほっぺたを叩くだけでは、人は集まらないから。そうやって、コミュニティのなかで存在感を確立してゆくことを考えると、『こりゃ大変だ』と。僕の仕事は監督カーを運転することではないし、現場に行って選手たちを応援することでもないのだろうな……ということを、特にこの1~2ヶ月はつくづく感じますね」

 今、彼らがいる場所から、「理想をいえば」と片山が話すところまでの距離は、果てしなく遠いようにも見える。それは、片山自身も重々承知のうえだ。

「大きいところだけを見ると、つい怖じ気づいちゃうんだけど、でも、最初の一歩は何だって小さいんだよ」と、片山は笑う。

「どんな偉人だって成功を収める前はたくさん失敗をしてきたんだし、どんな大企業だって最初は個人商店みたいな規模から始まってるんだから」

 過去を振り返れば、2012年のチーム設立からたった3年で、現在のTeamUKYOはヨーロッパのクラス1のレースに参戦するところまでやってきた。ここから先の3年(2017年)で、彼らがさらにどれほど遠く、高いところまで到達するのか――。今からその可能性に関心を持ち、期待を抱いておくのも悪い賭けではないだろう。

(次回に続く)

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