【自転車】片山右京「本場欧州を経て、いよいよ後半戦突入」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira photo by AFLO

 チーム、個人の2連覇を目標に挑んでいる今シーズンは、ホセ・ビセンテやリカルド・ガルシアらTeamUKYOの選手たち以外にも、他チームの強豪選手たちが活躍し、総合ポイントトップの選手が獲得するリーダージャージの激しい争奪戦が続いている。第12戦終了段階では、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)がランキング首位に立ち、僅差で鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が2位。そして3番手にホセ・ビセンテ、4番手に畑中勇介(シマノレーシング)、5番手からリカルド・ガルシアが追うという順位だ。

 チームランキングでも、現在は宇都宮ブリッツェンが首位に立ち、TeamUKYOは僅差の2位。この「2強」の争いはシーズンが深まってゆくにつれ、ますます激しさを増していくことは間違いない。

 栃木県宇都宮市を本拠とし、地元企業や商店をスポンサーとして地域密着型の活動を続ける宇都宮ブリッツェンは、片山右京が自らのプロサイクリングチームを興すキッカケになったチームでもある(「TeamUKYOが誕生したふたつのキッカケ」参照)。彼らを応援する地元のファンは、Jプロツアーのレースにも大勢が観戦に訪れる。ブリッツェンとファンの強い絆(きずな)は、ポピュラリティ獲得を重要な課題とする日本のサイクルロードレースの今後を考えるうえで、示唆するところが非常に大きいといえるだろう。

 日本国内のサイクルロードレースは、Jプロツアー第13戦・みやだクリテリウム以降(8月31日/長野)、第14戦・タイムトライアルチャンピオンシップ(9月7日/栃木)、第15戦・経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ(9月21日/広島)、第16戦・南魚沼ロードレース(9月28日/新潟)、と続く。そのJプロツアー後半戦の間に、ツール・ド・北海道(9月13日~15日)、ジャパンカップ(10月18日~19日)、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム(10月25日)なども開催されるため、11月中旬までは毎週末、日本のどこかで競技が行なわれていることになる。自分の近くの街でレースが開催される際には、ぜひともその目で選手たちの走りを堪能いただきたい。スタジアムで行なわれる球技や陸上、あるいは安全性から一定の距離が必要なモータースポーツ等と違って、自転車のロードレースは観客と選手の距離が非常に近く、選手たちの汗や息づかいを文字どおり目の前で体感できる数少ない競技なのだから。

(次回に続く)

プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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