【新車のツボ173】ランドローバー・ディフェンダー。オシャレで高性能、今ふうSUVに生まれ変わってもレガシーはそのまま (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 現在のランドローバーのラインナップには、大きく2つの柱がある。すべてが四輪駆動SUVであることは大前提として、ひとつはエンジンを横置きする前輪駆動レイアウトがベースの比較的コンパクトなシリーズで、もうひとつが縦置きエンジンの後輪駆動レイアウトをベースとした上級シリーズである。新型ディフェンダーは縦置きエンジンで、いうなれば後者の上級シリーズに属するのだが、その上級ランドローバー中では価格が手頃であることもディフェンダーの大きなツボだ。

 ボディやシャシーの基本構造などには、たとえば780万円以上のディスカバリー(第139回参照)との共通点も多いのに、新型ディフェンダーは安価なショートボディの"90"なら529万円から、売れ筋であるロングボディ"110"でも600万円台で選べる。600万円台というのは絶対的に安くはないけれど、高級SUV専業ブランドのランドローバーとしては間違いなく手頃である。

 新型ディフェンダーが比較的親しみやすい価格を実現できたツボは、メカニズム部分は上級ハイテク品であっても、すでに他車で使われてこなれたものであること、そして内外装の調度品がランドローバーとしては決して高級ではないこと......があるだろう。シンプルな外装には手の込んだ飾りはなく、内装にも木目やレザーなどの高価な素材はあまり使われておらず、ざらついた樹脂部品やジャージやウェットスーツを思わせる生地を多用する。

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