【新車のツボ160】ジープ・ラングラー。元祖の末裔は古くて新しい (4ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真
  • text & photo by Sano Hiromune

 それに、ラングラーの基本構造はフルオープン状態の姿に軽量な樹脂製ハードトップをかぶせただけ......なので、見た目のイメージよりはるかに重心が低い。よって、多少のクセはあっても、絶対的な機動性ポテンシャルは想像以上に高いのだ。

 また、かわりばえのしない(失礼!)今回のフルモデルチェンジながらも、エンジンと駆動系だけは大きく進化している。オートマは先代から一気に3速も増えた最新世代の8速だし、4WDは直結にもできる昔ながらの頑強構造に、最新電子制御クラッチを使ったオート4WDモードを追加。直結4WDは大げさだけど......というちょっとだけ滑りやすい道でも快適かつ安全に走れるようになった。

 さらに新型2.0リッターターボにいたっては、FCAのイタリアサイド(=フィアット)が開発した"マルチエア"という類例のないハイテクエンジンである。このエンジンは小型軽量ながらも、2トン近いヘビー級のラングラーをじつに活発に走らせつつ、同時に這うような低速でも扱いやすく粘り強い柔軟性、そして低燃費......を高次元に並び立たせるのは素直に驚異といっていい。フィアットといえば、F1から航空機まであらゆる動力機関のノウハウをもつイタリア工業界そのものといえる巨大企業。その技術力のツボはさすがである。

【スペック】
ジープ・ラングラーアンリミテッド・スポーツ
全長×全幅×全高:4870×1895×1845mm
ホイールベース:3010mm
車両重量:1950kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ・1995cc
最高出力:272ps/5250rpm
最大トルク:400Nm/3000rpm
変速機:8AT
JC08モード燃費:11.5km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:459万円

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