【新車のツボ152】アウディRS3セダン。
民主的に味わえる猛速に感服
アウディRS3セダンといえば、モータースポーツファンは"TCR"準拠の市販レーシングカー、RS3 LMSを想起するかもしれない。
TCRとは2015年に立ち上がったツーリングカーカテゴリーで、現在はWTCC(世界ツーリングカー選手権)の後を継いだWTCR(世界ツーリングカーカップ)を頂点に世界14カ国でそれを使ったレースが開催されている。現時点で世界12ブランドにTCRマシンの供給実績があり、日本車でもホンダ・シビック・タイプR(第144回参照)とスバルWRX STI(第115回参照)のTCRマシンが存在する。
そんななかでも、アウディRS3 LMSは"世界でもっとも成功したTCR"と言われており、16年末の発売から累計160台以上を販売。獲得タイトルは数知れず、日本のスーパー耐久シリーズでもクラス最大勢力にして、昨18年の富士24時間でクラス初優勝を果たした。
もっとも、市販量産車がそのまま世界ラリーや国際ツーリングカーで戦っていたのは20世紀までのハナシ。現在は市販車ベースといっても、メーカーが供給しやすいように、メカニズムよりイメージ優先のケースが多い。実際、TCRもベース市販車との共通部分は基本スタイルや車体構造のごく一部で、エンジンや駆動方式はベース車両とは無関係に制限・統一されている。具体的にいうと、TCRのエンジンは1.8~2.0リッター4気筒ターボで、駆動方式はFFである。
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