【新車のツボ151】日産GT-Rニスモ。
武闘オーラも優しい乗り味

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 日本のクルマ業界における2018年最大のニュースは、やはり「日産のゴーンさん逮捕」だろう。日産といえば、さらに「完成車検査不正問題」も年末まで尾を引いた。日産にとっての2018年は間違いなく、よくない意味で激動の1年だった......というか、厳密にはどちらの問題も完全には解決していない。

 ただ、いちクルマ好きのナレの果てであるワタクシにとってみれば、「クルマの良し悪しに直接の関係がない」という意味では、正直どちらもどうでもいい話である。

 ゴーンさんの件はいうまでもなく、クルマそのものとは完全に無関係だし、完成車検査問題は工場出荷時におこなう"1回目の車検"に不備があったということだが、クルマを所有している人ならおわかりのように、日本特有の車検制度はもはや形骸化している。とくにできたてホヤホヤの新車の車検は「そもそも不合格の個体はほぼ存在しない」とか「少し走ってから本来の性能を発揮するブレーキの検査などは、未走行のド新車だと逆にむずかしい」などの現実から、現場では「いかにして、とっとと切り抜けるか」が第一になっていた(=まさに形骸化)ことが問題となった最大原因だろう。

 もちろん、決められた法令を守らず、結果的に自分たちだけ都合よくゴマかしていたことは悪い。しかし、国が定めた旧態依然の車検より、メーカー独自の品質基準のほうがはるかに高度で厳格なので、現実には「完成車検査に不備があったから、日産車の品質に問題あり」とはまったくならない。だから、国交省も違反金をがっぽり支払わせるでもして、日産にキツめのお灸をすえればよく、見せしめの大量リコールなどで、われわれ一般ユーザーにまで迷惑をかけないでほしい......とは思う。

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