【新車のツボ138】マツダCX-5、見た目はほぼ同じも、乗ってビックリの新型 (2ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text&photo by Sano Hiromune

 だが、新型CX-5を実際に見て、触れて、乗ってみると、これがもうビックリである。  なにより、室内が猛烈に静かになった。といっても、単純に遮音材や吸音材を大量追加したわけではなく、この静かさは走行中のエンジン内部の爆発を緻密にコントロールしたり、ボディ各部にあるアナの数や大きさをひとつひとつ、丹念に見直したりした結果だという。ここでいう"アナ"とは、配管や部品を貫通させるためや、工場での生産過程で使う穴のことで、実際には外からは見えなかったり、クルマが完成すると不要になったりする穴である。

 また、新型の運転感覚も「CX-5そのもの」としかいえないのだが、走行中の上屋の安定感、タイヤの吸いつき、人間の操作に対するミリ以下の正確な反応......といった"走りの機微(きび)"としかいいようがない部分が、だれもが一瞬で気づくほど初代とちがうのだ。

 インテリアの仕上げもちょっと感動するレベル。たとえば、ダッシュボードは左右いっぱいにステッチが走るレザー張り。最近は縫い目までプラスチック成型で再現できるので、安いコンパクトカーもステッチ(風)の内装を使っているが、CX-5のそれは、ひと針ずつ縫われたホンモノ。最新の成型技術がいかに高度になっても、その"ありがたみ"は、フェイク成型とはまるで別物というほかない。

 写真や言葉の説明では変わり映えしないが......いや、一見変わっていないように見えて、じつは別物に進化したCX-5は、まさに作り手の信念、情念、執念、怨念(?)をひっくるめた"念の作品"というほかない。

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