【新車のツボ132】アバルト124スパイダー、ガイシャなのに輸入車ではない (2ページ目)

  • 佐野弘宗●文・撮影 text&photo by Sano Hiromune


 フィアット/アバルトの124スパイダーというクルマは1960〜70年代にも存在したので、ブランクはあるが商品としては今回が2代目。マツダ・ロードスターのボディ前後をイジって、往年の初代の姿を知る人に「そうそう、こんな感じ!」とヒザを叩きたくなる絶妙な復刻風デザインを仕立てた。エンジンだけはマツダと別物のフィアット自社製の高性能ターボである。

 マツダ・ロードスターといえば、1mm単位、1g単位のせめぎ合いで「小さく! 軽く!」とギリギリまで突き詰めたボディに、エンジン性能やタイヤの選定まで「速からず遅からず」のドンピシャのツボを突いている。"クルマ界のイチロー"というか、とにかく超ストイックなスポーツカーである。


 そんな超絶ピンポイントにバランスしたロードスターをベースに、124スパイダーはサイズや重量を大きく重くして、それを補ってちょっと余るくらいに速いエンジンを載せる。つまり、意地悪くいうと、ロードスターより少しだけ大味というか、精神的にゆるい感は否めない。

 タイヤはロードスターよりゴリッと食いついて、ステアリングはさらにピクッと敏感、高性能化されたブレーキもガンッと利く。排気音はロードスターより明らかに豪気だ。

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