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【新車のツボ123】レクサスGS F、
どこまでも日本的なサムライグルマ (3ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 GS Fにはイマドキのハイテクはほとんどないが、かわりに"機械"を、超がつくほど高精度かつ滑らかに動かすためのアナログな職人技が注入される。5.0リッターなんて大きなエンジンが、7300rpmまでスッパーンと回りきるのは、エンジン組み立て後に、熟練工がわざわざ1基ずつ回転バランスを調整しているからでもある。

 乗り心地についても、GS Fの開発エンジニアは「サーキットできっちり走ることを最優先して、一般道の快適性は考えていません」などと断言したりもしている。なるほど基本的にガッチガチなのだが、土台となる車体がまあムッキムキに硬質で、サスペンションもスルリと滑らか。だから、路面からの蹴り上げはそれなりに強くても、乗り心地は潤いに満ちていて、不思議なほど不快でない。

 まあ、クルマに興味がないと、GS Fの運転感覚はやはり、暑苦しくて大げさにすぎると思えるかもしれない。エンジン音も絶対的にはやっぱり騒々しい。だから、最近では「スイッチひとつで、街中はふんわり静かに、サーキットでは爆音でグリグリ走る!!」みたいな、全身ハイテクで変幻自在のスマートなスポーツモデルがもてはやされるわけだ。

 GS Fにはたしかに、どこか汗くさくて古くさい体育会っぽさがあるのは否定しない。しかし、見えないところで勝手に動く電子制御が介在しないこともあって、電子制御やハイテクになじめない古いクルマ好きには、GS Fの乗り味は、逆に"スッキリさわやか"といいたくなるくらいの清涼感がある。いうなれば、スパッと斬れる日本刀のごとし?

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