【新車のツボ117】ミニ・クラブマン試乗レポート (3ページ目)
もっとも、ミニに特別な思い入れがないワタシは、新しいクラブマンをすっかり気に入ってしまった。
クラブマンはもはや小さくもないが、小さなボディにいろんなものを凝縮するミニのノウハウが存分に活きている。実際、室内は同サイズのライバルより使いやすく、空間をスミズミまで使いきっているおかげで広々としている。また、内外装デザインもミニらしく凝りに凝っていて、とても華やか。これで価格もゴルフやフォーカスと似たようなものなので、ショールームの第一印象で、ミニの魅力にやられてしまう向きも多いだろう。
ミニといえば、走りは路面にへばりついてキュンキュン反応する"ゴーカートフィール"が身上で、この点はクラブマンも例外ではない。ただ、ボディサイズが大きくなったことで、タイヤ4本のスタンス(≒歩幅)やサスペンションストロークなど、クラブマンの基本フィジカルは、素のミニより明らかに余裕が出ている。
今回のクーパーSは200馬力級のハイパワーエンジンを積んでいた。同じエンジンを積んだ素のミニはオーバーパワー一歩手前の、スポーツカーばりのギリギリ緊張感のある味わいである。しかし、クラブマンは同じエンジンでも涼しい顔。乗り心地は快適そのもので、操縦性もシレッとマイルド。このゴーカート的な機敏さと、上級車らしい落ち着いた乗り心地のサジ加減が、新しいクラブマンの絶妙なるツボである。
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