【新車のツボ106】スズキSX4エスクロス試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 あえていうが、この連載がスタートして以来、取材可能な"軽ではないスズキ"は、ほぼ漏れなく取り上げてきた。場合によっては、クルマのデキもよく分からない段階で、取材を申し込んだこともある。なぜなら、今の"軽ではないスズキ"はハズレがないからだ。そして、このエスクロスも、いつもどおりのツボだらけのスズキだった。

 写真が下手なので分かりにくい(トホホ)かもしれないが、実物のエスクロスのデザインもいつもどおりの、なんとも抑揚があって筋骨隆々、ガバッと飛びかからんばかりの肉食系。国産輸入車問わずに百花繚乱のコンパクト・クロスオーバーのなかでも、もっとも存在感があって、クルマらしいクルマ好きのツボをくすぐるタイプのひとつといってよい。先見と地道に加えて、専門家や大人の審美眼に耐えるデザイン力も、スズキのツボである。

 エスクロスは内外装やハイテクに必要以上のお金をかけていないのも、いかにもスズキ。室内の広さや開放的な高めの視界、荒れた舗装もシレッと吸収してしまうサスペンションの余裕など、あるべきツボを押さえて、じんわりと沁みる走りの良さもスズキである。街中や渋滞でテレテレ這いずっているだけだと、とくに感銘も受けないのだが、高速道路に入るとしっとりと落ち着いて、スピードが上がっても車内は意外なほど静かさが保たれるのは、エスクロスがスイフトやキザシ同様に、とにかく基本フィジカルを鍛え上げてあるからなのだ。

 この連載では何度も書いているが、"軽ではないスズキ"最大のツボは、いい意味で"和製欧州車"としかいいようがないところ。これで200万円台前半なら欧州輸入車と考えれば安い......と思ったら、エスクロスは本当に欧州で生産されて、欧州から輸入されているんだった。


【スペック】
スズキ SX4 エスクロス(4WD)
全長×全幅×全高:4300×1765×1575mm
ホイールベース:2600mm
車両重量:1210kg
エンジン:直列4気筒DOHC・1586cc
最高出力:117ps/6000rpm
最大トルク:151Nm/4400rpm
変速機:CVT
JC08モード燃費:17.2km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:225万7200円

プロフィール

  • 佐野弘宗

    佐野弘宗 (さの・ひろむね)

    1968年生まれ。新潟県出身。自動車評論家。上智大学を卒業後、㈱ネコ・パブリッシングに入社。『Car MAGAZINE』編集部を経て、フリーに。現在、『Car MAGAZINE』『モーターファン別冊』『ENGINE』『週刊プレイボーイ』『web CG』など、専門誌・一般紙・WEBを問わず幅広く活躍中。http://monkey-pro.com/

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