【新車のツボ55】メルセデスベンツBクラス 試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 今回の取材車はBクラスでも最上級モデルで価格は400万円以上もするが、エンジンや足まわり、細かい装備類以外の基本は、もちろん300万円を切るベーシックモデル(B180ブルーエフィシェンシー)でも同じ。

 ダッシュボードは分厚いパッドに覆われた柔らか仕上げで、触感も見た目も高級車そのもの。乗り降りのとき意外にアシが当たるドア内張り下部のポケットが柔らか仕上げなのは「さすが、高級車のツボを分かっていらっしゃる」のベンツである。

 しかも、敏感ではないけどしっとり潤いのあるステアリング、パワフルなエンジンでもゆるゆるとゆっくり運転しやすい絶妙なしつけ......も、いい意味でいかにもベンツっぽいところだ。日常のちょっとした手触りや、交差点を曲がるだけでもわかる重厚な味わいで「いいクルマを買ってよかったあ」とシミジミできるタイプである。

 日本で売られるBクラスは、日本特有の立体駐車場を使えるようにするために、ヨーロッパで売っているものより車高が15mmくらい低い。もちろんボディのカタチはそのままだから、その15mm分はサスのローダウン......すなわち"車高短"にしてあるわけだ。

 ヨーロッパ仕様のBクラスに乗った経験はない私だが、クルマで15mmの車高短は走りも確実に効く。昨春の発売当初はちょっと粗野だった乗り心地も、即座に改良されて、今売っているヤツはピターッと快適&安定している。この種の背高ボディ、しかも今回のB250は200馬力オーバー(!)の快速仕様ながら、このハイパワーをこともなく受け止めつつ、シュワッと快適で上下動のない乗り心地を両立しているのは、お見事にしてステキ......というほかない。

 700~800万円級、あるいは1000万円オーバーのベンツがいいクルマなのはまったく当たり前(?)なのだが、こういう手頃な価格で、しかもポピュラーブランドにも類例があるタイプだと、ベンツの実力、クルマづくりのツボがまる分かり。今さらながら、ベンツはやっぱりタダモノではない。

【スペック】
メルセデスベンツB250ブルーエフィシェンシー
全長×全幅×全高:4385×1785×1545mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1520kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ・1991cc
最高出力:211ps/5500rpm
最大トルク:350Nm/1200-4000rpm
変速機:7AT
JC08モード燃費:14.6km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:435.0万円

プロフィール

  • 佐野弘宗

    佐野弘宗 (さの・ひろむね)

    1968年生まれ。新潟県出身。自動車評論家。上智大学を卒業後、㈱ネコ・パブリッシングに入社。『Car MAGAZINE』編集部を経て、フリーに。現在、『Car MAGAZINE』『モーターファン別冊』『ENGINE』『週刊プレイボーイ』『web CG』など、専門誌・一般紙・WEBを問わず幅広く活躍中。http://monkey-pro.com/

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る