【新車のツボ54】
VW ザ・ビートル・カブリオレ 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 春になると中古車市場でもオープンカーの価格が高めになる。つまり、春になるとオープンカーを欲しがる人が増えるというわけだ。

 ただ、オープンカーを商品としてビジネスベースに乗せるのは簡単ではなく、手ごろな価格≒200~300万円台で買える本格的な国産オープンカーはマツダのロードスターしかない。輸入車まで含めても、それは意外にレア......なのだが、そういう「気軽で手軽なオープンカー」というツボにドンピシャのクルマが、オープンカー最盛期に合わせるように日本に上陸した。フォルクスワーゲン(VW)ザ・ビートルのカブリオレである。

 その本体価格は375万円。一般的な感覚ではけっこういい値段だが、ビートル以外に300万円台で買えるフルオープンカーは他にミニだけ。しかも、ビートルはナビやヒーター付きレザーシートも標準装備で、実質的にはミニよりも買い得。オープンカーの場合、冬場のシートヒーターも、防水性のあるレザーシートも必須アイテム。これらをきちんと標準装備するあたり、さすがVWはよくわかっていらっしゃる。

 もっとも、このクルマを取り上げた理由は価格だけではない。ビートル・カブリオレは「フル電動」で開閉する「布製のソフトトップ」であることこそ、オープンカーのツボである(まあ、これはミニも同じだけど)。

 昨今、オープンカーといえば電動格納ハードトップがウケている。たしかに駐車時のセキュリティや「閉めればクーペ、開ければオープン」という一石二鳥っぷりで、電動ハードトップは機能的欠点がほとんどない。しかし、こと「オープンカーならではの楽しさと気持ちよさ」という視点で見ると、布製ソフトトップにかなわないところが少なくない。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る