【新車のツボ50】
スバル・フォレスター 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 今年の冬は寒い。東京でも何年かぶりの大雪で混乱したのは記憶に新しい。雪が降ると、突如としてほしくなるのがSUVだ。まさか、今冬の寒さを予知したわけでもないだろうが、昨2012年はとくにSUVの当たり年だった。マツダCX-5に三菱アウトランダー、スバル・フォレスターという3メーカーのSUVが同じ年に相次いでフルチェンジしたからだ。

 ちなみに、これらはすべて実質的に同じクラスに属するガチンコ中のガチンコのライバル同士。さらにいうと、同クラスにはほかに日産エクストレイル、トヨタRAV4/ヴァンガード、ホンダCR-V、スズキ・エスクード......と、日本が世界に誇るSUVがズラリとならぶ。そのなかでも私にとっての今いちばんのツボはずばり、スバル・フォレスターだ。

 スバルSUVの歴史は意外と浅い。スバル初のSUVは1997年発売の初代フォレスターだが、それは良くも悪くも「砂利道より舗装路が似合うナンチャッテ感」の強いクルマだった。他社のSUVと比較しても背は低く、室内空間もタイト気味、しかし舗装路ではインプレッサばりの鋭い走りを披露したのだった。

 そこから月日は流れて、この最新フォレスターは4世代目になるが、ご覧のとおり、クラスでもSUVオーラが濃厚な1台となった。斜めに削り取られた前後バンパーはいかにも凸凹の乗り越えが得意そうだし、切り立った大面積ウィンドウで室内は広いし、220mmというのロードクリアランス(=最低地上高)はSUVのなかでも最大級。また、サイドシルやリアホイールハウスをすべてカバーして汚さないドア設計など、他社のSUVが「どうせ泥道なんて乗らないんでしょ?」と割り切っている部分も、フォレスターではじつに生真面目につくりこんでいる。

 かつてのフォレスターやラリー活動でスバルに目覚めたマニアには、今回のフォレスターは「なんかフツー、ラリーはどうした!?」とツッコミたくなる存在かもしれない。そんな思いは走ってみるとさらに強まる。

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