宮司愛海×中村光宏のフィギュア話。四大陸で感じた日本女子選手の成長 (3ページ目)

  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

中村 今シーズンは表彰台にはほとんど乗ってないんだよね。シーズン序盤のスロバキアでの大会で2位になったけど、GPシリーズはアメリカ大会とフランス大会に出場してどちらも4位。全日本選手権は6位で、四大陸選手権が5位。個人的な見解だけど、やっぱり三原舞依選手が今シーズンは体調不良で不在だったのも影響したと思う。

宮司 今シーズンの坂本選手は練習段階から「身が入らなくて......」とよく言っていて。やっぱり練習パートナーの存在は大きいですよね。その三原選手も氷の上で滑り始めたという話ですから、大会で早く元気な姿を見たいですよね。

中村 そうだね。来季はまた大舞台に強い坂本選手の姿が見られると期待しています。

宮司 4位になった樋口選手はどうでしたか? 四大陸選手権では、6分間練習のときにトリプルアクセルをクリーンに着氷しました。それまでの大会では両足での着氷が続いていたので、流れをひとつ変えたかなと思うんです。6分間練習だったけど、あの興奮はすごかった。

中村 あれは自分史上、6分間練習で一番興奮した瞬間だった。着氷したシーンって中継でもちゃんと映っていたのかな?

宮司 オンエアされていたと思います。

中村 日本の3選手と韓国のユ・ヨン選手(四大陸選手権2位)がいて、あれだけ激しい6分間練習だったんだよ。世界選手権ではそこにロシア勢が加わるのだから、どうなっちゃうのか。

宮司 あっちで3回転、こっちで4回転。目で追うだけでも大変になるでしょうね。樋口選手が演技後の囲み取材のときに、6分間練習でトリプルアクセルに成功したことについて、「世界選手権につながる。アドレナリンが出ているなかで成功させる。その気持ちを踏まえて練習から調整したいと思った」と話していたんですよ。世界選手権では本番でも成功させてくれるんじゃないかって期待しているんです。

中村 四大陸選手権の本番では失敗したけど、成功への手応えを一番つかんだ選手だよね。回転数は足りていたから。プログラムに入れてチャレンジしたからこそ、6分間練習でトリプルアクセルの成功も生まれた。樋口選手は3年前の大会でかなり悔しい思いをしただけに、今回の手応えを世界選手権で花開かせてもらいたいな。

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