宮司愛海×西岡孝洋のフィギュア対談。中継の醍醐味とその難しさ (2ページ目)

  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

宮司 あのリポートはすごく緊張しませんか? 会場の独特の空気感が緊張感を増幅させるのかなと思っているんです。

西岡 そういう面はあるかもしれない。僕はあのリポートで選手に笑われたことがあるんですよ。収録用に「緊張感があるなか選手たちは......」とリポートしていたら、近くにいた荒川選手に「緊張していないよ」と笑われて。

宮司 そこからキャリアを積み重ねて16年間、皆勤賞ですよね。フィギュアスケートの実況アナウンサーの中で、一番長い経験があるんですよね。

西岡 何がすごいって、この16年間で1度もインフルエンザにならなかったこと。

宮司 確かにそれはすごい(笑)。絶対に選手にうつすわけにはいかないから、神経を使いますよね。

西岡 誰かが咳(せき)をしただけで「ん?」という空気になるくらい、中継チームは緊張感があるから。宮司はフィギュアスケートに携わって2年目? 3年目?

宮司 2年目です。去年の全日本フィギュアスケート選手権から中継に携わっています。

西岡 でも、2017年にあった平昌五輪代表選考会だった全日本フィギュアスケート選手権には来ていたよね。

宮司 はい。あれが初めてのフィギュアスケートの現場でした。もともとテレビ中継でよく見るほど好きで、初めて会場で見られることに浮き立った気持ちで行ったら......。現場に満ちている緊張感にすごく驚かされたことを覚えています。会場もだし、中継チームにも張り詰めたものがありました。

西岡 五輪選考会を兼ねると、張り詰めた空気感は一段階あがるから。

宮司 スポーツの現場は「習うより慣れろ」が大事と思っているのですが、フィギュアスケートの場合だけは、「慣れる前に学ぶ」ことも重要だなと思う空気感でした。西岡さんやスタッフから事前にもらうアドバイスや指示はすごく助かっています。

西岡 僕がフィギュアスケート中継に携わり始めた頃は、そうした先駆者がフジテレビにはいなくて。それまでフィギュアスケートはTBSが放送していたから。たまにNHKも中継をしていたけれど、いまのような中継スタイルが確立されていたわけではなかったから、一から自分たちで試行錯誤しながらつくる難しさがありました。

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