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目指すは金メダル。
対照的なふたりの天才、長島圭一郎と加藤条治 (3ページ目)

 実は、長島選手はバンクーバー五輪の後、自転車のトレーニングで転倒し、右の太股の裏を痛めてしまいました。その時はたいしたことないと思い放っておいたところ、予想以上に大きなケガだったことが判明。治療が長引き、2年間もスランプが続きました――。右足にうまく力が入らなくなってしまい、それまでのような滑りができなくなってしまったのです。

バンクーバー五輪の500mで長島圭一郎(左)が銀メダル、加藤条治は銅メダルを獲得した photo by JMPAバンクーバー五輪の500mで長島圭一郎(左)が銀メダル、加藤条治は銅メダルを獲得した photo by JMPA しかし、長島選手は調子を落として悩んでいることをおくびにも出さないで、ケガをしていることを家族にも話していませんでした。長島選手のお母さんは、昨年になってケガをしていたことを知り「苦しんでいたなんて知らなかった……」と驚いたそうです。苦しむ姿を見せず、常に明るく振る舞うムードメーカーの長島選手らしいエピソードだと思います。

 長島選手に「ケガを経験して何か得るものはありましたか?」と聞くと「タイムが出ないで伸び悩んでいる後輩や、ほかの選手の気持ちがわかるようになりましたね。今は後輩たちにもいろいろ教えるようにしています」と自らの心境の変化を語ってくれ、将来は、指導者として選手を育てたいという気持ちも芽生えてきているようでした。実際、ソチ五輪代表に選ばれた髙木菜那選手は、長島選手からアドバイスをもらっているそうです。

 長島選手は、10代のころから世界中のコーチから「世界一」と高く評価されている直線の滑りの技術があります。さらに、大学卒業後、日本電産サンキョーに入って加藤選手らと一緒に練習をすることでカーブの技術も着実に向上してきました。「まだ300m過ぎの第2カーブの滑りが課題」と成長すべきポイントの分析もしっかりできています。

 昨年夏には、これまでの2倍以上のハードなトレーニングをこなし、五輪シーズンに備えた長島選手。ソチへ向けて「トリノ、バンクーバー、ソチと五輪に3度も出て金メダルを獲れないようだったら、もう才能がないということだから辞めるだけですね」と、その覚悟を語ってくれました。

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