2022.03.27

ヴィニシウスの相手を抜き去るテクニックを大解剖。日本の名ドリブラーが徹底解説

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

スポルティーバ足ワザファイル 第2回

世界トップレベルのサッカースターたちの華麗なテクニックは、どういうカラクリで繰り出されているのか。その詳細を解説していく。今回も、川崎フロンターレやセレッソ大阪では名ドリブラーとして鳴らし、現在は南葛SCでプレーする楠神順平選手が実演・解説。今季「覚醒した」と言われる活躍を見せている、レアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオールのプレーを徹底解剖する。

◆ ◆ ◆

今季好調なプレーを見せているヴィニシウス・ジュニオールの足ワザを解説する photo by Getty Images今季好調なプレーを見せているヴィニシウス・ジュニオールの足ワザを解説する photo by Getty Images この記事に関連する写真を見る 【動画】楠神順平実演! ヴィニシウスの足ワザ集

相手に足を出させ、それをかわして抜き去る

 今シーズンのレアル・マドリードが好調な要因のひとつに、ヴィニシウス・ジュニオールの成長が挙げられると思います。これまでもポテンシャルの高さは示していましたが、今季は2ケタ以上のゴールを決めていて得点能力が開花しました。ドリブルだけでなく、点が取れるようになったことで、相手にとってより脅威となっています。

 そんなヴィニシウスの特徴を注目するときに最初に目が行くのは、そのケタ外れのスピードです。そのうえ、「ザ・ブラジル人」といったボールの持ち方をする、世界トップレベルの足元のテクニックを有しています。

 スピードがある選手、足元のテクニックがある選手はほかにもたくさんいますが、その両方が世界トップレベルの選手はそう多くいません。ヴィニシウスは対面した相手を抜ききって、相手の前に入る能力という面で、世界で傑出した存在だと思います。

 その相手を抜ききって前に入る能力をもう少し詳しく解説すると、ヴィニシウスは相手の横を取るのが早いんです。横を取るとは、ドリブルしながら相手と並ぶこと。これがとにかく早いんです。

 スピードのある選手にとっては、相手の横さえ取ってしまえばもう勝ちなんです。横を取った瞬間に、相手が足を出してきたタイミングで先にボールを触れば入れ替わってしまう。入れ替わってしまったらあとは置き去りにするだけです。ヴィニシウスのそのスピード感と、ボールタッチの感覚はずば抜けていると思います。

 相手と並んで、足を出していないときにボールを触ると相手はまだついて来ることができるんです。でも足を出したタイミングでボールを触ると、その分相手は絶対に遅れてしまい、入れ替わることになります。

 ヴィニシウスは相手の反応を見ながら、ボールをわざと相手が触れそうな位置に晒したり、わざとスピードをちょっと落として、相手が食いついてきた瞬間にボールを突いてスピードを上げて置き去りにしたりします。逆に相手が足を出してこないときは、無理をしない。そうした駆け引きが抜群にうまい選手です。

 今回は、そんなヴィニシウスによるブラジル人らしい足ワザを紹介しています。