「相手の逆を取る」華麗な足ワザテクニックとは。日本の名ドリブラーが実演・解説
スポルティーバ足ワザファイル 第1回
世界トップレベルのサッカースターたちの華麗なテクニックは、どういうカラクリで繰り出されているのか。その詳細を解説していく。今回は、川崎フロンターレやセレッソ大阪では名ドリブラーとして鳴らし、現在は南葛SCでプレーする楠神順平選手に、2021-22シーズンに欧州サッカーで見られた数々のテクニックを実演・解説してもらった。
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チアゴ・アルカンタラのプレーなど、相手の逆を取る足ワザのカラクリを解説する photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る【動画】楠神順平実演! 相手の逆を取る足ワザ集
相手の思っていることの逆を取る
サッカーの駆け引きのなかでとくに意識するのは、「相手の逆を取る」プレー。逆を取るとは、相手の予測や考えていることの逆を突くという意味です。
相手が右に行くと思っているところを左にかわしたり、手前でパスを受けると思ったところを裏へ抜けたり。相手よりも一枚上手なプレー選択で翻弄できた瞬間というのは、プレーしていても、見ていても楽しいところです。
この逆を取るのがうまい選手は、相手の頭の中を考えるのが上手な選手だと思います。相手がなにを考えているかを感じながらプレーすると、常に先手で仕掛けることができます。その駆け引きはいろいろとあります。
例えば相手がボールを取りたいと思っているのなら、わざとボールを相手に晒すような位置に置いて、食いついてきたところで先に触って抜いていく。あるいは相手が遅らせて時間を稼ぎたいと思っているのなら、こっちもそれにつき合うようにフッと力を抜いて、相手が気を抜いた瞬間にスピードを上げて置き去りにする。
相手がどうしたいかを読み取って、そこから逆を取るためにどう仕掛けていくかというのは、サッカーの駆け引きの醍醐味です。
2018年からヴィッセル神戸でプレーしているアンドレス・イニエスタは、相手の逆を取るのが非常にうまい選手の代表格です。
イニエスタは相手の嫌なことを常に狙っています。しかも仕掛けるタイミングが早く、フェイントも相手の間合いに入るよりも手前の離れた位置からかけ始めるので、相手はいつも後手に回ってしまいます。
相手からすると、近い位置でフェイントを仕掛けられれば、体に手をかけたり、ボールを突いたりと、まだやれることはあるんです。ただ、イニエスタのように5m先からフェイントをかけられると、どうしもようもないんですね。
イニエスタと対戦したことのある選手はみんな「触れもしない」と言います。競り合いにすら持っていけないというのは、いかに逆を取るのがうまいかを物語っていると思います。
今回は、そうした相手の逆を取りながらゴールやチャンスにつなげた足ワザを紹介しています。
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