メッシの驚異のシュート技術。蹴るギリギリまで相手と駆け引きができる (2ページ目)

  • 松岡健三郎●取材・文 text by Matsuoka Kenzaburo
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

◆バルサの財政問題で足元から揺らぐリーガ。メッシもついに無所属に>>

 その時は、ボールの横からだとか、少し角度をつけて斜めからなど、助走でのボールへのアプローチを変えるといいと思います。イメージだけでメッシのマネをして蹴ったら怪我しそうなくらい、じつは僕らとは筋力の差があるんです。

メッシのキックはコンパクトな足の振りがポイントメッシのキックはコンパクトな足の振りがポイント あとは、FKを簡単に決めますよね。今回は「カーブFK」を紹介しました。

 動画でも説明していますが、ボールに横回転をかける「カーブFK」は、足でボールをこするというよりは、蹴り足を円状に振ってミートすることを心がけると横回転がかかります。最後にボールが落ちているように見えますが、これは「(ボールが)失速しつつ、落ちている」という表現のほうが合っていると思います。

 もちろん縦回転のFKを蹴る場合もあります。その時は、インパクトまでの蹴り足の振りは円状ですが、フォロースルーでは体をひねらず、そのまま真っすぐ前に振り抜くようにすると縦回転になります。

 ミートはどちらの回転でもインサイドの中心。土踏まずの窪みをボールの下に入れて蹴るイメージです。軸足はボールに力が伝えられる位置に踏み込む。近すぎると蹴り足の振りが小さくなるので、少し離れるくらいがいいですね。これは足の長さによって個人差があります。

 ニアサイドかファーサイドか。横回転か縦回転か。これをメッシは、蹴るギリギリまで変更できるわけです。まさにPKのように、FKを蹴れるので、GKとの駆け引きに勝てれば、FKも確実に決められます。

 やっぱりキックは、何度も蹴り込むしかないので、繰り返し練習して自分のものにしてほしいですね。ボールを蹴ることは本当に奥が深い。ずっと蹴っていても飽きないですし、楽しいです。

リオネル・メッシ
Lionel Messi/1987年6月24日生まれ。アルゼンチン・ロサリオ出身。地元ニューウェルズ・オールドボーイズから13歳の時にスペインに渡り、バルセロナの育成組織に入団。17歳でトップチームデビュー後、ここまで17シーズンを過ごし、リーグ優勝10回、チャンピオンズリーグ優勝4回、バロンドールを6度獲得するなど、大活躍をつづけている。リーガ通算520試合/474ゴール(21年5月時点)。細かいタッチのドリブルで次から次へと相手をかわし、1人でゴールを決められる。ここ数年はラストパス、FKにも冴えを見せる。アルゼンチン代表では、05年ワールドユース優勝。08年北京五輪優勝。しかしA代表では、14年ブラジルW杯、07、15、16年コパ・アメリカなど、準優勝が最高成績。

阿部翔平
あべ・しょうへい/1983年12月1日生まれ/神奈川県横浜市出身。市立船橋高校-筑波大学と進み、06年に名古屋グランパスへ入団。鋭い左足のキックを武器に左サイドバックのレギュラーとして活躍し、10年にはクラブ史上初のJ1優勝に大きく貢献した。その後、ヴァンフォーレ甲府、ジェフユナイテッド千葉などでプレー。J1通算317試合/3得点。現在は東京都1部リーグのSHIBUYA CITY FCに所属してプレーしている。キックに特化した自身のYouTubeチャンネル「阿部 翔平/Abe Shohei」も更新中。

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