日本競輪選手養成所の卒業記念レース間近 大学や高校日本一らが出場 ボート競技出身者がまさかの優勝候補筆頭

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  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

卒業記念レースの優勝候補、左から中島瞳、森田一郎、仲澤春香卒業記念レースの優勝候補、左から中島瞳、森田一郎、仲澤春香この記事に関連する写真を見る 3月5日(火)、6日(水)に、この春、日本競輪選手養成所を卒業する第125回生・第126回生たちによる「卒業記念レース」が、伊東温泉競輪場で5年ぶりに有観客で開催される。候補生たちにとっては、昨年5月から約10カ月間の訓練の成果を披露する晴れの舞台で、ファンにとっては今後の活躍を占うレースとあって、毎年注目を集めている。ここでは卒業記念レースで上位入賞が期待される3人を紹介する。


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森田一郎
強敵2人に勝って優勝を誓う

 大学時代に、国体でケイリン1位、JICF国際トラックカップでケイリン2位の結果を引っ提げて養成所に入所した森田一郎。将来を嘱望された森田は、養成所内で実施された第1回記録会こそ体調不良で欠場したものの、第2回、第3回の記録会で、見事ゴールデンキャップ()を手にした。しかし達成感は乏しかったと本人は言う。
※各種目で5段階の基準タイムが設定されており、最もいい基準タイムを全種目で記録するとゴールデンキャップ獲得となる

「とくに3回目の記録会は、直前にまた体調を崩してしまい、何も準備ができないままだったので、うまくまとめられたなという感じです」

 体調不良ながらも、これだけの成果を手にしたことが、逆にポテンシャルの高さを物語っている。森田は昨年11月に開催された8つの国と地域の選手が出場した国際大会「2023ジャパントラックカップ」にも選出され、ケイリン種目に出場。ナショナルチームの太田海也、中野慎詞に続き3着という好成績を残している。

 しかし「太田さん、中野さんは自力を出しての1着2着で、僕はそれについて行っただけなので、3着というのはあまり誇れるものではないと思っています」と謙虚だ。ただそこで得られたものは大きかった。

「とくに太田さんはすごかったです。僕は太田さんの番手(後ろ)にいたんですけど、(残り1周になって)後方から抜きにきた中野さんが太田さんと並んで前に出られないように蓋をしたんですね。普通なら太田さんは先頭を譲るしかないんですけど、そのままインで粘って、伸び切って1着でした。その諦めない精神力、我慢強さは学ぶものがあるなと思いました」

 その光景を目にした日から森田の練習への意識が格段に上がった。その後はさらに高いパフォーマンスを維持。ジャパントラックカップでの結果も評価され、養成所卒業後にナショナルチームに入ることが決定した。

「今後は競輪とオリンピックの両方で勝負していく」と語るが、まずは養成所での集大成、卒業記念レースが迫っている。養成所内の第1回トーナメントでは優勝を飾り、第2回も4着に入っているだけあって、森田に大きな期待が掛かるが......。

「(第1回トーナメントでは)一番強い中石(湊)くんと山崎(歩夢)くんが準決勝前に敗退して決勝にいなかったので、自分が優勝はしましたが......という感じでした。第2回目は優勝した山崎くんに大差で負けてしまって4着でしたので、その脚力差を埋めることが今の課題です」

 卒業記念レースでは決勝での1着を目標にするという森田。競輪、そしてナショナルチームの道に気持ちよく歩み出していくためにも、最後の大一番で優勝を期す。

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