検索

日本競輪選手養成所の卒業記念レース間近 大学や高校日本一らが出場 ボート競技出身者がまさかの優勝候補筆頭 (3ページ目)

  • PR text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

この記事に関連する写真を見る

中島瞳
ケイリン高校1位、MTBアジア3位の逸材

 高校卒業してすぐに養成所に入った中島瞳。その時点の自転車競技歴はなんと12年9カ月とかなりの長さだった。「幼稚園の年長からマウンテンバイクを始めた」という彼女は、以降トラック競技も含め、長年自転車競技に関わってきた。

 ただ、その間ずっと自転車漬けだったわけではなく、中学時代はウエイトリフティングに取り組み、「最後は全中(全国中学校体育大会)で入賞した」ほど、フィジカル能力は高かったという。

 自転車のトラック競技を中心に部活動に励んだ高校時代は、3年時に、インターハイのケイリンで1位、全日本ジュニアケイリン1位と、全国の頂点に立った。さらにアジア大会のマウンテンバイクジュニア部門でも銅メダルを獲得。まさに自転車競技の申し子と言っても過言ではない。

 高校2年でガールズケイリンの選手を目指した中島は、3年で入所試験に合格。意気揚々と養成所に入所したものの、決して順調に歩み始めたわけではなかった。

「第1回記録会では、高校の時よりもタイムが全然遅くて、白帽()は獲れたんですが、このまま落ちていってしまうのかなと思ってしまいました」
※ゴールデンキャップの次点の称号

 養成所に入れば、そのまま右肩上がりで成績が伸びていくものだと考えていた中島にとって、高校時代よりも劣る成績は受け入れられなかった。「どうしようという感じだった」と当時の心境を吐露する。

「高校時代は、やっている練習の意味をあまり考えていなくて、言われるがまま練習をこなしていただけでした。養成所にきて、ペースの作り方や、全力の出し切り方などを教えていただいて、練習の質の違いをすごく感じました」

 その後の練習では、競輪を論理的に突き詰めて考えるメニューやカリキュラムに必死に取り組み、少しずつ実力をつけていく。第2回記録会では「2000mのタイムが基準まで1秒足りずにゴールデンキャップを逃してしまった」が、第3回記録会では「調整がうまくいかなくて、納得いくタイムは出せなかったけど、ゴールデンキャップを獲れました」と達成感よりは安堵感のほうが大きかったようだが、きっちりと結果を残した。

 残すは卒業記念レースだ。ただそこで優勝するには、大きな壁を超えていかなくてはいけない。

「仲澤(春香)さんが第1回と第2回のトーナメントで1着を獲っていて、この卒業記念レースも獲られてしまうのではないかと思っているので、ここは自分が獲りたいです。『終わりよければすべてよし』ということで、最後は優勝で締めくくりたいと思っています」

 そのための課題をこう口にした。

「私は気持ちの部分が課題で、勝たなければいけないと思った時に、守りに入ってしまう傾向があります。ここで動いたら後で力を出し切れないのではないかと思って、最後まで出し切れなかったりすることがあるので、自分から積極的に展開して全力を出し切りたいです」

 これまでのトーナメントで苦杯をなめている仲澤に対し、最後は勝って有終の美を飾る覚悟だ。

3 / 4

    厳選ピックアップ

    キーワード

    このページのトップに戻る