クラシコで「メッシ時代」幕開けの一撃。超攻撃戦術が走り出した (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images


 2008-09シーズン、15節にカンプノウでレアル・マドリードを迎えたエル・クラシコは、エポックメイキングだった。
 
 本拠地カンプノウに集まった9万6000人の歓声を背に、バルサはマドリードを圧倒している。前半6分、右サイドで若き日のリオネル・メッシが躍動。鋭い切り返しから技巧的なシュートを放つが、GKイケル・カシージャスに防がれた。

 マドリードは4日前に、開幕以来の成績不振でベルント・シュスター監督が解任され、ファンデ・ラモス監督が新たに就任したばかりだった。最悪に近い状態で、王者は手段を選ばない。恥も外聞もなく、セルヒオ・ラモスを左サイドに配置し、露骨なメッシ封じに出た。基本的に防御に徹し、攻撃はカウンター一発に懸けたのだ。

 26分、マドリードは千載一遇の好機を得る。ラウール・ゴンサレスが下がってボールを受け、バルサのダニエウ・アウベスが上がった左サイドの裏へボールを流す。そこに走りこんだドレンテはフリー。GKと1対1だったが、ビクトル・バルデスにブロックされてしまう。

 マドリードは意地を見せるも、27分にセルヒオ・ラモスがメッシに対する反則でイエローカードを受け、守備が難しくなる。また、左サイドのドレンテが決定機を逃したショックに引きずられ、ミスを連発。ラモス監督のプランに綻びが出て、戦いはバルサ優位に傾き始める。

 後半に入って48分、バルサはメッシが右サイドを蹂躙し、3人を引きつけ、左サイドのサミュエル・エトーへ。エトーはトラップしたボールを右足で叩くが、カシージャスがパンチングではじき返した。56分には、再びエトーが右足を振るが、バーを越えた。

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