わずか1点差。フォーミュラE・片山右京が語る「最終戦のみどころ」

 2年目となる『フォーミュラE2015-16シーズン』もドイツ・ベルリンでの第8戦が終了し、7月に行なわれるイギリス・ロンドン大会2連戦を残すのみとなった。いよいよ年間チャンピオンが決定する瞬間が近づいてきたなか、ベルリン大会ではルノーe.ダムスのセバスチャン・ブエミが優勝。この時点で、総合ポイントでトップのルーカス・ディ・グラッシ(ABTシェフラー アウディスポーツ)に1ポイント差に迫った。

 最終戦となるロンドンでブエミの逆転優勝となるのか、それともディ・グラッシが逃げ切るのか? ベルリン大会の解説を担当した片山右京氏に、ベルリンでのレースを総括していただきつつ、ロンドン2連戦の展望をうかがった。

――ベルリン大会を振り返って。

 ブエミとしては、ディ・グラッシに4連勝を決められていたら、チャンピオンシップはなかったので、流れを変える意味でも勝たなければいけないレースでした。
 ディ・グラッシもここで逆転されるようなことがあったら連勝の意味がなくなりますから。チームメイトのアシストがあれば良かったですが、それがなくても最終的に3位で表彰台に乗れたということは予選ポジションが悪かったことを考えると、さすがチャンピオンシップを争っているだけのドライバー、さすがはディ・グラッシ、と言えますね。

――去年のロンドンはブエミがポールポジションをとって優勝しました。

 ブエミが強いチームに所属していてしかも速いドライバーだというのは間違いないです。ただ、ロンドンのバタシーパークは、コースの特性上スピードが出るわりには狭く、アクシデントが起きやすい。オーバーテイクも難しいから去年も接触が多かったですね。さらにブリティッシュウェザーという雨も気になるところ。今までフォーミュラEでは本当の意味でのウェットコンディションで行われたレースが奇跡のようにないですが、イギリスではそれもわかりません。クリーンなレースになることを祈りますが、まったく別物になる可能性もあるだけに面白いとは思います。ただ、コース幅が狭いサーキットなので、オーバーテイクする際にはフロントをねじ込むようなハードなレースをしなくてはいけないでしょうね。

――それだけレース運びが難しいということになりますが......。

 速さで言えば、ルノーe.ダムスのブエミですが、ディ・グラッシもレース巧者。どんな状態でも仕掛けてきて表彰台に上がる男なので、去年二人が失ったチャンピオンシップをプレッシャーの中で壮絶な戦いを見せてくれるでしょうね(去年はネクストEV TCRのネルソン・ピケJr.が年間王者)。見てるこちらは面白いですが、胃が痛くなる。それを乗り越えて勝つからこその世界チャンピオンなんですが......。

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