投資を学ぶ高校野球部生が考えた新規ビジネスのアイデア 起業は可能なのか

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

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 昨年度から始まっている高校生向けの投資教育。集英高校の家庭科の授業で、生徒たちに投資について教えている奥野一成先生は、野球部の顧問も務めている。その奥野先生から、練習の前後などに、経済に関するさまざまな話を聞いているのが3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎だ。これまで「経済」なんて考えもしなかったが、現実の世の中の動きを反映した実践的な内容に、ふたりは引き込まれていくのだった。

 このところ、由紀と鈴木の頭のなかでは、さかんに「ビジネス」の4文字が浮かんでは消える。将来、どんな仕事に就きたいか。大好きな野球に関わる仕事に就くことはできるか。そもそも野球に関わる仕事にはどんなものがあるのか......そんなことから始まって、前回はついに「新規ビジネスの立ち上げ」にまで話題が及んだ。

由紀「そういえば以前、高校生を対象にした起業のプログラムが盛んに行なわれているという話を聞いたわ」(「第21回:起業」を官民あげて促すのはなぜか。高校の野球部生徒が社会の流れやその現状を学ぶ」
鈴木「負けてられないですね。僕らも本格的にビジネスのアイデアを考えますか」

 ふたりがそんな話をしている野球部の部室に、今日も奥野先生が入ってきた。

奥野「鈴木君や由紀さんが、自分でもし会社を立ち上げるとしたら、スポーツ関連でどんなビジネスを考えるのかな?」

鈴木「たとえば、野球って、お金がかかるじゃないですか。WBCで世界の多くの人が野球の魅力を知ったと言われているけど、道具にお金がかかるから、プレーしたくてもできない人もいるという話を聞きました。だったら日本の中古の野球道具を海外に輸出して、世界の野球人口を増やすっていうのはどうでしょうか」
由紀「野球選手もそうですが、アスリートって、全般的に選手生命は短いですよね。だから、何かそういう人たちのセカンドライフをサポートするみたいな仕事があればいいのに、と思ったんですが......」

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