投資を学ぶ高校野球部生が考えた新規ビジネスのアイデア 起業は可能なのか (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【実際にあるアスリート対象のビジネス】

奥野「そうなんだよ。だから、中にはお金の使い方をコントロールできなくて、変な借金を背負ってしまったり、騙されたりする人が後を絶たない。普通の生活をしている人たちがどのような金銭感覚で暮らしているのかをしっかり理解してもらうのって、特に有名なプロアスリートの人たちにとっては、案外、大事なことかもしれないよね」

由紀「プロのアスリートが引退後も、お金をある程度、稼げるようなビジネスってあるのでしょうか?」

奥野「もちろん指導者として大成功を収める人もいるけど、どうだろうね。ただ、ちょっと参考になるかもしれないって思う例が、ひとつあるかな。

 アスリート関連だと『AthReebo』という会社がある。いわゆる『肖像権ビジネス』なんだけど、たとえば企業のホームページや広告、チラシにアスリートの肖像を使うとか、企業経営者とアスリートの対談動画や記事を掲載して企業プロモーションに使うとか、あるいはPRイベントにアスリートをキャスティングするといったビジネスを展開している。このサービスを利用したい企業は、『AthReebo』に対して月額で一定の金額を支払うと、『AthReebo』が契約しているアスリートの肖像権を使用できるというわけ。一種のプラットフォームビジネスだね。

 似たようなビジネスモデルとしては、時々、タクシーの交通広告で見かける、『中小企業からニッポンを元気にプロジェクト』というのもある。これは『中小企業のチカラ』という会社が運営していて、年会費を払っている中小企業は、『中小企業のチカラ』が契約している芸能人やタレントの肖像権を自由に使うことができるんだ。

 アスリートにとって旬の時期は短いケースも多いし、芸能人やタレントは人気稼業なので、いつ『あの人は今』状態になるか、わからないでしょう。でも、こういうプラットフォームがあれば、アスリートはプロを辞めたとしてもファンはたくさんいるだろうし、芸能人だって全盛期の人気はなくなったとしても、覚えてくれている人は大勢いる。

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