「野球に関わる仕事に就くためには何が必要?」投資を学ぶ高校野球部生が考えた

  • ,鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(40)~野球に関わる仕事を考える

 昨年度から始まった高校生向けの投資教育。「家庭科」や「公共」の教科書には、「金融」や「決済」、「株式投資」といった言葉が並んでいる。初めての試みに、教える側も試行錯誤が続いているという。

 集英高校の家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生は、野球部の顧問も務めている。3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎はその奥野先生から、練習の前後などに、経済に関するさまざまな話を聞くのが日課のようになっていた。それにより、テレビで見る経済ニュースなどにもより深い関心を寄せるようになった。

 前回は、いま話題のチャットGPTなど生成AIについて話を聞いた。夏休みの宿題に使っていいのか悪いのかという問題とは別に、チャットGPTがこれからの社会にどういう影響を与えるかというテーマは、由紀と鈴木にとってとても刺激的だった。前々回のテーマ「最近の株高」もそうだが、経済がダイナミックに動いていることを実感できるからだ。

 それは「将来どういう仕事をしたいのか」とも関係していた。実際、ふたりは「どんな仕事があるのか」「それに就くために今は何をしたらいいのか」といったことに頭を巡らせるようになった。これまで奥野先生から受けてきた「授業」をベースに、何かを実践したいと思うようになったのだ。

鈴木「僕は将来、何らかの形で野球やスポーツに関われることをしたいなと思っています」
由紀「選手ということではなくてもね」
鈴木「そう。試合をテレビで見ながら考えていたんだけど、たとえばプロ野球の選手じゃなくても、野球で生活している人はたくさんいる。審判、監督、コーチ、トレーナー、球団の職員、リーグの運営スタッフ、栄養士、通訳、用具メーカーの社員、ショップの店員、球場の人、メディアの人、カメラマン......」
由紀「既存の仕事もいろいろあるし、以前、先生からうかがってたように、新たなビジネスを立ち上げることができるかもしれないわ(「奥野一成のマネー&スポーツ講座(21)~高校生のための起業プログラム」)」

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