「いつでも会社を辞められるように」 高校野球部生が早くも「転職の準備」を学ぶ (4ページ目)
【自分の3年間をまとめる】
奥野「日本はこれまで終身雇用制度と年功序列賃金があったから、転職をせずに長く勤め続けたほうが、安定的にお給料も増えていくというメリットがあったけど、これからはそういう時代じゃないからね。
厳しい話になるけど、実績のある優秀な人は、どの会社も欲しがるから、どんどん高いお給料でオファーされる。けれども、大した実績もないような、ごく普通の会社員には、どこからもお声がかからず、結果的に安い賃金のまま、同じ会社で働き続けるしかない。いや、働けるならまだマシかもしれないね。実績を出せないような人は、会社から解雇されてしまうかもしれない。
まもなく日本もそういう時代になると思うんだけど、だからこそ、本当の意味で自分の付加価値を高めておくことが、一番の保険になるはずなんだ。いつでも会社を辞められるような状態にしておけば、嫌な上司にいじめられても精神を病んだりせずに済むしね。
これは技術的な話になるけど、僕がやっているのはこういうことなんだ。3年に1度くらいの頻度で、自分のレジュメ(履歴書)を作っておく。この3年間で自分に何が身についたのか、どのような実績ができたのか、自分の売りは何なのかをまとめておくこと。実績をあげるために何を身につけなければならないのか、それ以上に何が社会・企業が抱えている課題なのか、を自己認識するいい機会になると思うよ。
もっと言うと、それを日本語だけでなく、英語でも書いておくといいよ。そのためにも英語をマスターしよう。海外企業も含めて、いつでも転職できるようにしておけば、選択肢はもっと広がるはずだからね」
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。『マンガでわかるお金を増やす思考法』が発売中。
フォトギャラリーを見る
4 / 4