「誰も知らないネタで株で儲ける」なんてムリ 高校の野球部生徒が学ぶ「株式の売買と情報」 (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【プロの投資家と個人投資家】

奥野「今、鈴木君が言ったような、『誰も知らない情報をゲット』して投資をしているプロがいるのかどうかっていうことなんだけど、投資を知らない人は結構、『そうやっているんだろう』って思っているみたいだね。

 つまり、株式投資で儲けている人は、誰も知らないような内部情報を持っていて、他の人に先んじて投資できるから儲かるだろうってことなんだけど、それをやったら犯罪で捕まります。インサイダー取引という言葉を聞いたことがあるかもしれないけど、金融商品取引法違反ということで、証券取引等監視委員会によって刑事告発されるんだ。

 ちなみにインサイダー取引に対する罰則は結構厳しくて、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられることもある。それと、インサイダー取引によって得た財産についても、原則として没収もしくは追徴されてしまう。それでもなお、インサイダー取引をする人はいるんだけど、それを投資家とは、もはや言えない。単なる犯罪者です。

 じゃあ、プロの投資家と個人投資家の間に情報格差があるのかということだけど、これも今となってはあまりないんじゃないかな。

 確かに、プロの投資家は経営者に直接会って話を聞く機会があるし、海外に出張して、現地法人を視察したり、あるいは海外企業そのものを取材したりすることはできるのだけれども、最近は決算説明会の様子を動画で配信している企業も増えているし、その気になれば株主総会に出席して、経営について自分の思うことを、壇上にいる経営陣に質問することだってできる。企業のホームページを見ると、IR(Investor Relations、インベスター・リレーションズ。企業の投資家・株主向けの広報活動)関連の資料もふんだんに用意されている。

 インターネットがまだ民間ベースで普及していなかった時代は、明らかにプロと個人の間に情報の格差が存在していたのだけど、今のように個人でもインターネットなどを通じて企業情報をリアルタイム、かつ豊富に入手できるようになると、もはや情報の質、量の両方において、プロと個人の差はほぼない、と考えていいだろうね」

鈴木「でも、そうだとしたらプロの投資家って何者なんですか?」
由紀「個人でもプロと同じように投資できるってことですよね」

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