「誰も知らないネタで株で儲ける」なんてムリ 高校の野球部生徒が学ぶ「株式の売買と情報」 (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【ビジネスの良し悪しを見抜く目】

奥野「情報の質、量に差がないのだとしたら、プロのプロたる所以は何なのか、ということなんだけど、それは考えること、つまり思考の質、量なんじゃないかな。

 これは僕の持論でもあるんだけど、『情報の量と考える量は反比例する』と思うんだ。多くの人たちは、情報をたくさん仕入れれば仕入れるほど、それで知った気になってしまう。

 でも、情報をたくさん持っていたら、何か自分にとって有利な展開ができるのかというと、それは絶対にないと断言してもいいね。だって、インターネットには膨大な量の情報が流れているし、話題のChatGPTを使えば、知りたいことを瞬時に取り出すことだってできるようになる。昔は、物知り博士といえばある程度、尊敬を集めることができたのだけれども、今は無理だよね。物知り博士は、君たちも持っているスマホの中にいるんだ。

 ということで、プロは自分が持っている情報に向き合いながら、『どの企業に投資するのがいいのか』ということを、寝ても覚めても考えている。仕事の時間中も考えているし、休日も考えている。ここが、個人と違うところなんだ。そして投資決定に必要な仮説を構築・検証するんだ。

 個人の場合、学生なら勉強、社会人なら自分が従事している仕事のこと、あるいは家庭のことを考えるのに、どうしても時間を割かなければならない。

 でも、プロの投資家は投資のことだけを1日中、考えていられる。ここが個人と違うところで、プロは圧倒的に考える時間が長いんだ」

由紀「でも、何をどのように考えればいいんですか」
鈴木「そうそう。儲かる会社はどこなんだろうって考えても、なかなかそこから先に思考が広がっていかないですよね」

奥野「投資の考え方って、何か特別な方法があるということではないんだ。超短期で株式を売ったり買ったりするデイトレーダーの人たちは、また別のセンスが求められるのかもしれないけど、少なくとも、長期で株式に投資する場合は、株価の値動きを捉えるのではなく、あくまでもビジネスに資金を投じるのと同じだから、それはビジネスパースンとしての基本的なスキルでもある。

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