投資教育を受ける高校の野球部生徒が考える「マネージャーの役割」 変わりつつある日本の企業で行なわれている面白い試み

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(24)~マネージャーの役割とは

 集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、経済に関するさまざまな話を聞いてきた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。前回は、「一流企業に就職して出世して社長を目指す」という生き方について、刺激的な話を聞いた。「一流企業でも、社長はただの労働者」と言われてしまい、この話をサラリーマンの父親に伝えるべきかやめるべきか、ひそかに悩むふたりだった。

 練習前の野球部の部室では、由紀がノートに何やら数字を書き入れていた。部費の管理はマネージャーの仕事。几帳面な由紀はこの手のデータ管理的な仕事を、奥野先生から一切、任されていた。そこに鈴木が入ってきた。

鈴木「いつもお疲れ様です。細々とした作業、やっていただいてありがとうございます!」
由紀「何よ、あらたまって」
鈴木「今度の土曜日は練習試合もあるじゃないですか。そういう連絡とかもあるし、マネージャーさんの仕事、大変だなと思って」
由紀「やりがいはあるからいいけどね。この前、奥野先生が会社の社長も労働者だと言ってたじゃない。野球部でいうと部長が社長にあたるのかしら」
鈴木「いろいろな指示を出すのが部長であることは確か。で、部員が一般の社員ってこと?」
由紀「だとすると、私みたいにいろいろな雑用をするマネージャーは何なのかしらと思って英和辞典で調べたら、本来、英語では『経営者、管理者』っていう意味なんだって」
鈴木「社長と社員の間に入っていろいろ調節する人っていう感じかな。会社で言うと......課長さん?」
由紀「中間管理職?」

「まあそんなところだね」と言って、奥野先生が入ってきた。

奥野「でも会社という組織も、ずいぶんと形を変えてきているんだ。特にいい会社というのはその傾向が強いと思うよ」

由紀「どんなふうに変わってきたんですか?」

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