投資教育を受ける高校の野球部生徒が考える「マネージャーの役割」 変わりつつある日本の企業で行なわれている面白い試み (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【会社は誰のもの?】

奥野「本来、会社っていうのはお客様のために存在するものだということは、今までも何回か君たちに言ってきたよね。

 世の中の大勢の人が『こんなものがあったらいいのに』、『これがあればもっと便利になるのに』と思っていることを実現するための製品やサービスを提供して、お客様は『ありがとう』の印としてお金を払う。それが会社の売り上げにつながり、そこで働いている人たちのお給料を払うことができる。

 もっと言うと、それで余ったお金は、その会社に投資している投資家への配当金になる。つまり本来、会社は『お客様』のためのものであり、『投資家』のものでもある。ところが、日本の会社に勤めている人の大半は、会社は自分たち社員のものだと思い込んでいる。

 たぶん君たちのご両親も、君たちが就職活動をする時、『有名な会社に就職しなさい』って言うだろうね。それは、自分たちがいい大学を卒業して、有名な会社に就職して、安定した人生を送っているからだろうけど、それって働くことの本質から言うと、めちゃくちゃズレてる。

 これは公務員もそうで、『なんで公務員になったの?』と質問をした時、『そりゃ、安定した生活ができるからだよ』なんて胸を張って答える人も同じだね。

 こういう人たちは、会社や役所などの勤務先に行って、そこで夕方まで時間を過ごせば、それで毎月給料がもらえると思っているし、会社は自分たちのもの、自分たちの既得権益とさえ思っているフシがある。そして、そこには『お客様のために』という視点がまったくない。だから、組織防衛に走るようになるんだ」

鈴木「先生、組織防衛ってどういうこと?」

奥野「自分たちが属している組織を維持し続けようとする防衛本能、とでも言えばいいのかな。多かれ少なかれ、どの組織にも防衛本能はあるんだけど、度が過ぎると組織は硬直化してしまう。つまり変われなくなってしまうということなんだ」

由紀「会社員である以上、自分が所属している組織を守るのって大事だと思うんですけど?」

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