投資について学ぶ高校の野球部生徒が素朴な疑問を抱いた最近のニュース。「日銀って何するところ?」
この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(19)~日本銀行と金利
集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生。3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎は前回、奥野先生から、旅行割の話をきっかけに、政府の政策がどれだけ人々の価値観に影響を与えるかという話を聞いた。「政府の政策」などというと、自分たちとは無関係なものだと思っていたが、そんなことはない、もっと政治のニュースにも関心を持たないといけないと思うふたりだった。
野球部の部室で繰り広げられる由紀と鈴木のよもやま話は、こんな展開になることもあった。
鈴木「『日銀が長期金利の変動幅の上限を広げた。長期金利が上昇することを容認』『どうなる住宅ローン、固定か変動か』......この前、ニュース番組でトップニュースになっていたんだけど、どういうこと?」
由紀「なんでいきなりそんなに難しい話題をふってくるのよ」
鈴木「いや、日銀って何かなと思って」
由紀「そこからですか」
日本銀行は日本の中央銀行。その役割は、紙幣の発行、物価の安定、金融システムの安定など。民間の金融機関から預金を預かり、金融機関に貸出を行う「銀行の銀行」であること、国のお金の出し入れなどを行なう「政府の銀行」であることなどの点で、一般の銀行とは違う。
ふたりの会話に奥野先生が加わった。
奥野「確かに日本銀行は一般の人たちには身近な存在とは言えないよね」
由紀「どっちにしても私たちの手には負えないわね。先生、よろしくお願いします」
奥野「そもそも鈴木君や由紀さんは、『金利』と言われても、あまりイメージできないんじゃないかな。僕が社会に出た1990年頃は、1980年代に起ったバブル経済の最終局面だったから、結構、金利が高くてね。郵便局、つまり今のゆうちょ銀行だけど、主力商品に『定額貯金』っていうのがあって、これに3年以上預けた時の利率は年6.33%だったんだ。
定額貯金って最長10年間預けることができて、しかも半年複利で利息を計算するから、100万円を預けると10年後には186万4866円になる。年利回りにすると8.648%だね」
由紀「預けているだけで? 信じられない!」
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