投資について学ぶ高校の野球部生徒が素朴な疑問を抱いた最近のニュース。「日銀って何するところ?」 (2ページ目)
【上り始めた「長期金利」とは?】
奥野「そんなおいしい時代だったんだけど、今の定額貯金の利率は年0.002%しかない。同じように100万円を10年間運用しても、100万円が100万200円にしかならないんだ。そんな状態が、かれこれもう20年以上も続いているんだから、鈴木君や由紀さんからすれば、銀行などにお金を預けて金利を受け取るっていう感覚がなくなってしまうのも当然のことだと思うよ。
でも、その金利が少しずつではあるけれども、上がり始めてきた。鈴木君が今、言った『長期金利』っていうのが、それだね。
じゃあ、長期金利って何だろう。これは日本国が税収以外で、広く世の中からお金を集めるために発行している、償還までの期間が10年の債券、つまり長期国債の利回りのことなんだ。
長期国債の利回りは、大勢の市場参加者が、長期国債を『債券市場』というところで売買することによって、常に上下している。簡単に言うと、市場参加者がこれから先、景気がどんどん良くなると思えば、長期金利は上昇するし、逆に景気が悪化すると思えば、長期金利は低下する。
市場参加者って、ちょっと難しい言葉を使ってしまったけど、要するに長期国債を売買して収益を得ている人たちのことだね。この人たちのなかに、個人はほとんどいないんだけど、たとえば銀行、証券会社といった金融機関をはじめ、さまざまな機関投資家がいて、そのひとつに中央銀行、つまり日本銀行もいる。
じゃあ、日銀は債券市場で何をしているのかというと、景気や物価などを睨みつつ、適正な金利水準になるように調整する役割を担っている。具体的に言うと、景気が良くなりそうな時は金利を上げるようにするし、景気が悪くなりそうな時は金利を下げるような調整を行なっているんだ。
『日銀が長期金利の変動幅の上限を広げた』っていうのは、これまで長期金利が0.25%を超えないように調整していたのを、0.5%まで認めるようになったということなんだ」
鈴木「それは日銀が、これから先、景気が良くなるって思っているということ?」
由紀「でもそんなに景気が良くなっているとは思えないんだけどなー」
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