大谷翔平、久保建英...スポーツ選手が象徴する「海外進出が今の日本で合理的な理由」 (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

異なる野球とサッカーのマーケット

奥野「それと、ちょっと興味深かったのは今季、アメリカのメジャーリーグでプレーした日本人野球選手が9名だったのに対して、欧州各国のクラブに入団してプレーする日本人サッカー選手が50人もいること。この差は何、って思わない?

鈴木「メジャーリーグのほうが入るのが難しいから」
由紀「サッカー選手に比べて、野球選手はまだまだ国際的な実力を備えていない?」

奥野「いやいや、日本の野球選手だって、十分、メジャーリーグで活躍できる実力の持ち主はまだいると思うよ。

 これはおそらくマーケット規模の違いじゃないか、って思うんだよね。野球って、圧倒的にアメリカが大きくて、その地続きであるカナダと中南米諸国の一部、日本、韓国、台湾などアジア諸国の一部がプロリーグを持っていて、プロスポーツのなかでは人気の高い競技なのだけれども、欧州など、それ以外の国・地域では、ほとんど人気がないんだよ。国際組織の加盟国数で比較すると、国際野球連盟(IBAF)の加盟国数が124カ国。これに対して国際サッカー連盟(FIFA)の加盟国数は211カ国にもなることからも、いかにサッカーのほうがワールドワイドかってことがわかるよね。

 どうして野球が世界的に広がらないのか、についてはいろいろな意見があるのだけれども、よく言われるのは、お金がかかるということ。何しろボールとバット、グローブ、キャッチャーなどの防具を18人分揃えないと試合ができない。対してサッカーはボールひとつあればOK。つまりコストがかからないということ。その分だけ間口が広いんだ。

 間口が広いから、日本人サッカー選手は50人も海外に行くことができる。でも、野球はたったの9人。もっと言えば、国際野球連盟の加盟国が124カ国といっても、圧倒的に大きなマーケットを持つのはアメリカのメジャーリーグだし、やはりそこに行かなければ、トップとは言えない。

 けれどもサッカーなら、ブラジル、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、スペイン、アルゼンチン、イングランド、ウルグアイ、オランダ......という具合に、強豪と言われる国がたくさんある。この違いは大きいよね。おそらくプロリーグでプレーしようと思ったら、野球よりもサッカーのほうが、ハードルは低いのかもしれない。もちろん、そのなかで生き残って一流選手になれるかどうかは、また別の話だけれどもね」

由紀「ゴルフだって松山英樹選手がマスターズで優勝したし・・・・・・」
鈴木「そういえば、12歳のドラム女子のYOYOKAさんも、家族みんなでアメリカに移住するって聞きました」

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