大谷翔平、久保建英...スポーツ選手が象徴する「海外進出が今の日本で合理的な理由」 (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

 京都にある有名企業に、日本電産や京セラがあるんだけど、ここって最初から日本国内のマーケットではなくて世界を見ているんだ。たとえば日本電産だとモーターが主力になるんだけど、京都で本当に小さい掘っ立て小屋みたいなところでモーターをつくって、それを日本の大企業に持って行って『取引して下さい』と言ったところで、まったく相手にされなかった。だから、日本電産の創業者である永守重信さんは、アメリカの大手企業である3Mに持って行き、そこから今の大躍進が始まったと言われている。

 日本のマーケットがこれから縮小していくことを前提に考えた時、自分はどこで戦うのかということを冷徹に見極めることは、とても大事なことだと思う。そういう意味で、由紀さんのお友達が海外留学をすることにしたのは、おそらく世界を相手に仕事をしていこうという決意の現れなのかもしれないね」

【profile】
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。

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