大谷翔平、久保建英...スポーツ選手が象徴する「海外進出が今の日本で合理的な理由」 (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

縮小していく日本のマーケット

奥野「そう。スポーツに限らず、海外で活躍している日本人って、実は結構いるんだよ。ひょっとしたら、これから日本を出て、海外で活躍する人が増えていくんじゃないかな。

 日本って、島国だから小さい国というイメージが強いんだけれども、人口は1億3000万人近くいるし、GDPもかつては米国に次ぐ世界第2位だったから、日本国内のマーケットだけを相手にしていれば、十分に食べていくことができたんだ。だから、日本人がメジャーリーガーとしてどんどん出ていくようになったのは、1995年の野茂英雄投手からだったし、日本人サッカー選手が何人も海外で活躍できるようになったのは、1993年にJリーグが発足してからだよね。

 逆に韓国は、日本と逆に経済規模が小さいから、とにかくどんどん外に出ていくしかなかった。韓国のエンターテインメントがアメリカでも通用しているのは、もともと海外に輸出することを前提にしているからなんだよ。だから韓国の芸能人って、日本語も英語も普通に話すことができるんだ。

 じゃあ、これからの日本はどうなのかというと、経済規模は人口減少にともなって縮小していくおそれがある。そうなると、昔みたいに『日本のマーケットが大きいから、日本国内で活躍すればいい』なんてことが通用しなくなるかもしれない。そうなった時、スポーツ選手や芸能人は日本人を楽しませるだけでなく、世界を舞台に活躍するようになるんじゃないかな」

鈴木「それって、ひょっとしたら普通に会社で働く人にも当てはまるのかも」
由紀「あ、だから私の友達、海外の大学に留学するのかもしれない」

奥野「いいところに気がついたね。たとえば君たちもよく利用しているセブンイレブン。あれ、日本の小売だと思っている人が多いのだけれども、本家本元はアメリカの会社で、それを日本のセブン&アイHDが買収したんだ。だから、今はれっきとした日本企業なんだけど、実は売上の4割は海外なんだよね。

 人口がどんどん減っていく日本国内だけで小売ビジネスを展開していたら、いずれ必ず売上は落ちていく。でも、アメリカはどんどん人口も増えているから、そこで商売をすればまだまだ伸びる余地がある。だからセブン&アイHDの株価は、他の小売と比較した時、明らかに違う動きをするんだ。

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