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瀬戸大也はパリ五輪で「大どんでん返し」を狙う 厳しい現実を痛感しても前向きな理由 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 しかし、23日午前の400m個人メドレーの予選ではその勢いを見せられず、4分10秒89で予選3位。決勝に向けては、「パリ五輪のためにも前半から積極的にいきたい」と話していたものの、最初のバタフライが予選より遅く入ってしまい、200m通過も2分00秒50と遅れてしまう。その結果、マルシャンと昨年の世界選手権2位のカールソン・フォスター(アメリカ)に先行を許してしまい、目標とする順位も記録も遠のいてしまった。

 優勝したマルシャンのタイムは、世界記録を1秒34更新する4分02秒50。2位のフォスターも4分06秒56と、3位に入った瀬戸の4分09秒41とは差が開いた。しかし、4位のチェイス・カリシュに対しては平泳ぎで差をつけられながらも最後に意地の泳ぎで逆転し、銅メダルを死守した。

「ここぞという時にタイムが出せないのは自分らしくないなと思うけど、最後は『意地でもメダル』と思ってチェイスと勝負をしました。ただ、これまでかなりトレーニングをしてきたからこその銅メダルだと思います。これまではこういう展開になったらチェイスに競り負けていただろうけど、加藤コーチと自由形を一生懸命追い込んできたので、きつかったけど最後の50mは自信がありました」

 パリ五輪で金メダルという目標を考えると厳しい結果だったが、瀬戸はスッキリしているようで、マルシャンとの今後の戦いに向けてこう語った。

「自分のベストラップと比較しても1秒くらい前にいかれている状況だから、パリの金メダルは果てしなく厳しい戦いになるのを今回体感しました。ただ金の確率は0%ではないし、今は少ないパーセンテージをいかに大きくできるかは、ここから1年間の頑張りだとも思います」

 前向きな姿勢は変わらず、具体的にはこう話す。

「まずは前半のスピードを取り戻すトレーニングや、コーチが求めている以上のタイムで泳ぐことをこれから連発していかないと戦えない。来年の五輪でマルシャンの隙を突くとか、加藤コーチが出せると言っているタイムに少しでも近づいて大どんでん返しができるかどうかも、これからのトレーニング次第。すごく気合いを入れられる結果だったし、来年に向けて喝を入れられたと思います」

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