伊藤華英が見た池江璃花子は四冠達成も「絶好調ではなかった」 日本選手権で感じた過去との差と鍵を握ったレースとは (2ページ目)
「女子選手はみんなよかった」と語る伊藤華英さん photo by Hirose Hisayaこの記事に関連する写真を見る
【プレッシャーが見えた成田】
そして若手で注目を集めたのが、16歳の成田実生選手です。200m個人メドレー、400m個人メドレーでともに優勝し、派遣標準記録を突破しましたが、初めてプレッシャーのかかるレースをしているんだなと思いました。彼女にとっては今回初めて世界選手権という大きな舞台に向けての選考レースだったので、今までに見たことのない責任感を持った顔をしていました。それでもその緊張をうまく乗り越えたので、よかったなと思います。
泳ぎのほうも、自由形も背泳ぎも上手でしたし、安定していました。今回は第2種目の背泳ぎを抑え気味でいきましたが、今は海外の選手がとても速いんです。カナダのサマー・マッキントッシュは彼女と同じ16歳で、つい先日、400m自由形と400m個人メドレーで世界新記録を樹立しました。400m個人メドレーのタイムは4分25秒87で、成田選手の今回のタイムが4分36秒89ですから、大きな開きがあります。世界選手権は世界の壁を感じながらも、どう泳いでいくのかを学べる絶好の機会。それを経験したうえで、パリ五輪で勝負できればいいのかなと思います。
そして今回一番泳ぎがよかったなと感じたのが200mバタフライで初優勝した三井愛梨選手(18)です。タイムも2分6秒77と速くて、派遣標準記録(2分8秒43)も突破。初の世界選手権代表にもなりました。とくにキックは上手ですね。バタフライは体力的にもきつい種目なのに、最後まで伸びのある泳ぎができていました。今回彼女は腕を横から回して水面に入れていましたが、本来は腕を大きく回して上から水面に入れる形のほうがいいので、完璧なストロークではありませんでした。だから、今後もっと成長できる余地を残していると思います。
今年度から彼女は大学1年生になりましたので、厳しい練習をやることで知られる藤森善弘コーチのもとで、さらに練習の量、質とも上げていって、それにしっかりと向き合うことができれば、すごく伸びる選手だと思っています。
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