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伊藤華英が見た池江璃花子は四冠達成も「絶好調ではなかった」 日本選手権で感じた過去との差と鍵を握ったレースとは (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 二宮渉●撮影 photo by Ninomiya Wataru

【まずは決勝に残れるように】

 そのほかの選手でいうと、200m平泳ぎで自己ベストを更新する2分22秒98を出して優勝した今井月選手(22)もよかったですね。リオ五輪のあと調子が上がらず東京五輪には出場できませんでしたが、その間の紆余曲折を経て、6年ぶりの代表入り。今回は最後までストロークが崩れず、本当に素晴らしいと思いました。飯塚正雄コーチのもとで、いい練習ができているなという印象を受けました。

 またベテラン選手も今回は頑張っていましたね。平泳ぎの鈴木聡美選手(32)や青木玲緒樹選手(28)も世界選手権への出場が決まりましたし、今回優勝はできませんでしたが、個人メドレーの大橋悠依選手(27)も調子を上げてきていました。

 彼女は東京五輪で金メダルを獲得して以降1年間くらい調子を落としていて、不安視されていましたが、今回は第1種目のバタフライと、第2種目の背泳ぎまではかつての泳ぎが戻ってきたなという印象を受けました。かかとのしこりを除去する治療を行なっていたこともあって、後半はまだ練習不足かなというところもありましたし、本人もそう話していました。

 でも今回の泳ぎを見ると、ちゃんと自分の気持ちと向き合っていい練習ができていたのは間違いないでしょう。まだ多少の不安は残りましたが、本人はやるべきことはわかっていますので、出口は見えてきたのかなと思います。

 今回の日本選手権を総括すると、女子選手はみんなよかったです。世界選手権に出場することが決まった、自由形の池本凪沙選手(20)や神野ゆめ選手(20)もポテンシャルの高さを感じました。彼女たちはリレーのメンバーにも入っていますので、自由形を底上げする意味でも、頑張ってもらわないといけないですね。

 そして7月の世界選手権で出場する全選手たちは、まずは予選で短距離の選手は16番以内、長距離の選手は8番以内に入ること。そして、決勝に残ることがとても大事です。各選手がそれぞれの自己ベストを出せれば、明るい結果が待っているんじゃないかと思いますね。


【Profile】
伊藤華英(いとう・はなえ)
1985年1月18日生まれ、埼玉県出身。元競泳選手。2000年、15歳で日本選手権に出場。2006年に200m背泳ぎで日本新、2008年に100m背泳ぎでも日本新を樹立した。同年の北京五輪に出場し、100m背泳ぎで8位入賞。続くロンドン五輪では自由形の選手として出場し、400mと800mのリレーでともに入賞した。2012年10月に現役を引退。その後、早稲田大学スポーツ科学学術院スポーツ科学研究科に通い、順天堂大学大学院スポーツ健康科学部博士号を取得した。現、全日本柔道連盟ブランディング戦略推進特別委員会副委員長、日本卓球協会理事。

■インスタで「スポーツと生理」の教材を配信
伊藤華英さんがリーダーを務める「1252プロジェクト」。これは女子学生アスリートを中心に、10代の若者が抱える「スポーツと生理」にまつわる課題に対し、トップアスリートの経験や医学的知見をもって、情報発信をしているプロジェクト。その一環として、インスタグラムで手軽に学べる「スポーツと生理」の次世代型オンライン教材『1252 Playbook』を配信中。
Instagram:1252project>>

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