来夏の五輪開催があれば、あの競技は「チケットなし」で見られるか? (2ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 門脇 そら●撮影 photo by Kadowaki Sora


「マラソンスイミングだと、10キロメートルのラスト1500メートルが、ラストスパートになる感覚です。つまり、競泳で一番長い1500メートルのレースが、マラソンスイミングだとラストスパートになってしまうんですよ。だから、日本の競泳の長距離のトップ選手たちには、本当はもっともっとマラソンスイミングにも出てもらいたい。最初から突っ込んで泳げるようになれれば、専門の1500メートルのほうにもプラスになると思うんですけどね」

「それに、マラソンスイミングは、実は競技感覚としては、競泳というよりも、陸上のマラソンや自転車のロードレースみたいなんですよ。誰が、どこで仕掛けるのか、その駆け引きが楽しみなんです。

 やっぱり、選手たちも10キロメートルを一生懸命泳いで、最後の写真判定で『ダダダダダッ!』ともつれて、タッチの差で勝負が決まるのは避けたいみたいで、みんな途中で仕掛けたり、仕掛け返したりします。そういう駆け引きをしている選手たちを見ているのも楽しいですよ」

 競泳以上に過酷で、熾烈な駆け引きをしながら、勝利を手にするために泳ぎ続けるマラソンスイミングの選手たち。そんな選手たちを東京五輪でライブ応援できる生観戦スポットを探し出すため、Sportivaはマラソンスイミングのテストイベントに足を運んでみた。

マラソンスイミングの認知度アップに努める原氏マラソンスイミングの認知度アップに努める原氏
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 2019年8月11日にお台場海浜公園で行なわれた、マラソンスイミングのテストイベント。

 午前7時の号砲とともに、海岸から海上に突き出すように設置された桟橋状のスタート地点から、22名の男子選手が一斉に海に飛び込む。その2分後には13名の女子選手も続き、こうしてテストイベントが始まった。

 当初のスケジュールでは、女子選手が午前7時スタートで、そのレースの終了後、男子選手が10時からスタートする予定だった。

 しかし、真夏の強い日差しの影響で気温だけでなく水温も上昇し、時間が経てば経つほどレースには不向きな、選手たちにとって困難なコンディションになる可能性が出てきた。そのため急遽、男子選手を先にスタートさせた後、女子選手が同じコースの男子選手を追うように連続スタートする変則的な方式が取られることになった。

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