競泳の日本選手権で喜びなき優勝が続出。だが、若手の台頭には期待 (2ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • YUTAKA/アフロスポーツ●写真 photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 竹村コーチは、「記録を狙うというよりは、江原について行ってラストでかわす、という勝ちに行くレースとなってしまった」と話してくれた。

 実際レース後の吉田も「騎士さんについて行って300の時点で余裕があったので300~350mで詰めて、ラストで交そうと思った」と語った。

 ラストの50mのラップタイム26秒99は素晴らしいが、そこまでに少し余力を残しすぎだと私も感じた。

 それでも、18歳が落ち着いたレース展開で日本選手権を勝ち切ったことには価値がある。

 これからは日本選手権の決勝、そして世界の舞台で、自分でレースを組み立てられるようにならなければならない。本人の言葉にもあるように、今年なんとしても日本代表に入ることが重要だ。3日目に行われた200m自由形決勝でも派遣標準記録に及ばなかったが、残りの800m決勝に懸けてほしい。

 女子400m自由形で初優勝した難波実夢選手も今後が楽しみな選手だ。

 168cmと大柄で、泳ぎのスケール感も大きく、ゆったりとしたテンポで泳ぐのが特徴だが、それを支えるのはキックを打ち続けられる下半身の強さだ。女子1500m自由形で優勝した大学一年生の小堀倭加ら同世代の選手と競り合いながら、今後自由形中長距離の中心選手として成長していってほしい。

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