東京五輪へ明るい兆しの日本新5つ。「競泳W杯」松田丈志レポート (2ページ目)

  • 松田丈志●文・写真 text & photo by Matsuda Takeshi

 あらゆる競技でパワー全盛のこの時代に、ストレングス(筋力)の強化は必須だ。ただ、理想のボディーは人によって異なる。特に水泳はパワーだけでなく、水に力を伝える技術と、水からの抵抗を減らす技術がパフォーマンスの要素として入ってくる。

 今後も自分に合ったトレーニングを追求していってほしいと思う。

 池江璃花子は50mバタフライと100m個人メドレーの2種目で日本記録を更新した。今大会の彼女を見て、世界のトップに追いつきたいという気持ちを今まで以上に感じた。

 実際にその距離が少しずつ近づいてきている。50mバタフライでは隣を泳いだ世界記録保持者サラ・ショーストロム選手(スウェーデン)を意識して、ずっと視界に捉えながら泳いだそうだ。そのなかで、「スタート、ターンはサラ選手もそこまで速くないんだと思った」「前半は並んでいけた」というコメントがあった。

 実際、私から見てもそうだった。サラ選手は世界記録保持者だがスタート、ターンは世界でトップというわけではなく、彼女よりも速い選手はいる。サラ選手は泳ぎが極端に速く、長水路でより輝きを増す選手であると言えるだろう。

 そのサラ・ショーストロムやオーストラリアのケイト・キャンベルなど世界のトップスプリンターが200m種目に積極的に出場しているところも池江には見習ってほしい。200m種目に取り組むことで持久力も強化され、より彼女を強くしてくれるだろう。

 今大会で池江が手応えを感じているのは間違いない。レース後にはサラ選手と初めて言葉を交わし、キャップを交換したという。きっと世界記録保持者も日本の「IKEE」を意識し始めていると思う。池江は12月にはナショナルチームとともに高地合宿やローザンヌ(スイス)オープンにも参加する。

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