「恐怖の種目」200mバタフライのキツさを、スペシャリストが語る (3ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi photo by Enrico Calderoni/AFLO SPORT)

 瀬戸自身も自己ベストを目指したと思うが、準決勝より少し記録を落としてしまった。今後、この種目で金メダルを目指すのであれば、まずは1分54秒の壁を突破する必要がある。私も経験があるが、200mバタフライには1分54秒の壁がある。私も何度も54秒0や54秒1のレースがあった。

 瀬戸もこのあたりのタイムでは何度も泳いでいるが、なかなか53秒台に突入できていないので、まずはこの54秒の壁の突破が今後の目標になるだろう。

 この結果は悔しいだろうが、瀬戸にとっては個人メドレーが専門であり、今大会も金メダルを目指す200m個人メドレー、400m個人メドレーに繋げていく上ではいいステップとなった銅メダルだったと思う。

 競泳日本チームとしても今大会2個目のメダル獲得となり、チームの流れも引き寄せてくれた。

 200mバタフライは恐怖との戦いだ。

 一般的にも「バタフライはキツイ泳ぎ」と認識れていると思うが、それはトップスイマーも同じだ。そのキツイ種目で200mを全力で泳ぐこと自体がプレッシャーになる。その肉体的キツさに加え、精神的にも「最後バテたらどうしよう」という恐怖との戦いでもあるのがこの種目だ。

 優勝したチャド・レ クロスはロンドン五輪のチャンピオンで2013年の世界水泳も優勝している選手だが、ここ数年は200mバタフライではいいレースができていなかった。昨年のリオ五輪も4位に終わっている。スプリント力を持った選手なので、前半はいつも先行できるのだが、ここ数年は最後バテてしまい、負けるレースが多かった。

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